TOP満室経営のツボvol.95

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.95

2018.10.02

自主管理のほうが
家賃が下がっている?

自主管理か、管理委託か。
大家さんが書いた本では、
ほぼ、「管理料を取られる分損だから、
自主管理したほうがいい」と書いてあります。
ところが・・・。

写真はイメージです

全国で下がり続けている「家賃」

 国の調査の消費者物価指数によると「物価」はアベノミクス効果で上昇しているが、実は「家賃」は下がっています。人口減少と新築物件の建設で需給バランスが変わり、空室が出ているためです。これはこのコラムでもずっと述べてきた現象です。

とあるセミナーの調査での発見

 ところで、先日、とあるエネルギー系の企業さんのオーナーセミナーで「次回はどういうテーマを取り上げてほしいか」を聞くためにアンケートをとっていただきました。もちろん「家賃が下がって困っている」というオーナーが沢山いらっしゃいました。このアンケートでは自主管理のオーナーが半数、管理委託のオーナーが半数という、ちょうどいいバランスでの母数がありましたので、興味本位で「自主管理と管理委託でわけたらどうかな?」と思い、クロス集計してみました。
 するとオーナーが困っている事のランキングで「家賃が下がっていて困っている」という項目が、
 自主管理オーナーでは4位。管理委託しているオーナーでは7位だったのです。
 母数も少ないし、特定のエリアに限ったアンケート調査に過ぎないので、このデータだけで断定してしまうのはどうかと思いますが、もしかして「自主管理のオーナーの物件のほうが賃料下がっているのではないか。これはちょっと発見じゃないかな」と思ったのです。

自社管理オーナーのパートナーで
ある仲介会社の現象

 あくまでこれは「仮説」なのですが、自主管理のオーナーは、その入居促進は仲介会社に依存する事となります。管理料は払わず、仲介を得意とする会社に、空室が出たら依頼を行います。
 こうした仲介専業は、全国で厳しい経営環境となっています。かつては、マーケットの主役となり、家賃相場に対する影響力が強かった彼らは、家賃下落で、売上・利益はダウンしています。今後も家賃が下がれば、彼らの収入単価は下がり、人口移動が減り仲介件数が減れば、彼らはさらに売上利益が減少します。
 こうした仲介専業は、ほぼ歩合給。となると、「家賃を下げて、仲介件数を増やして合計売上金額を上げ」ようとします。これは「利益率を悪化」させます。

「付帯」「AD料」への逆風

 こうした仲介専業は、取引単価をあげるため、付帯商品の販売を拡大してきました。ハンバーグ屋さんで「ポテトもいかがですか?」とやるように「新聞や消火剤はいかがですか?」という戦略です。しかし、賃貸に暮らす人の収入は決して上がっていませんから、「はい、ついでに買いますよ」という人がどんどん増えるわけではありません。
 また、単価を上げるためには「AD料」という名目で、オーナーからも成果報酬をもらうというスキームも拡大していきます。すると、「決まりやすい新築などの物件」は「わざわざAD料を払うのは無駄」というわけで、仲介専業会社への専任が減り、かつAD料も取りにくくなります。
 すなわち、こうした仲介専業に行くと、「魅力的な新築が少なく」「ついでに付帯商品を薦められる」ので管理も行っている会社よりも劣位となっていきます。となると、仲介専業会社は設備提案やリフォーム提案をする権限がほぼないため「家賃を下げましょう」という提案になり、結果的に「相場よりも家賃を下げて闘う」という負のスパイラルに陥っているのではないでしょうか。

設備提案やリフォームで
家賃を維持しようとする管理会社

 一方、管理会社はどうでしょうか?
 家賃が下がれば、管理会社は管理料収入が下がります。となると安易に家賃を下げるよりも、エアコンをつけてもらったり、バストイレを別にしたり、ネットを無料にしたりと、家賃を維持勝とする施策を投じるようになります。
 とすると、結果的にそれが講じて、仲介専業に任せている物件に比べると、同じ築年でも物件力が高く、家賃が高い設定出来ているのかもしれません。

では、自主管理はダメ、
というわけではなく

 ここまで述べたように、空室増加トレンドの昨今、そのビジネススキームの特性から、仲介専業は家賃ダウンという「プライシング」で闘う傾向にあります。「生活保護歓迎」「家賃交渉します」といった札が下がっている仲介専業もあり、コンピテンシーは低収入層をターゲットとしていくと考えられます。
 一方、管理も行っている会社は、や家賃下落を抑えながら入居率アップを志向するため、設備提案やリフォーム提案は今後も増えていき、ブラシング力よりもプロダクト力で勝負していく傾向があると言えます。
 では、自主管理はダメなのでしょうか? そんなことはありません。
 オーナー自らが、大家の会などに入り学習し、DIYやステージング、あるいはネット無料やIoTなどの工夫も行って、物件力の差別化を図っていけばよいのです。むしろ管理委託で丸投げしているよりも、自らの創意工夫で収益改善を成功しているオーナーもいます。
 また、管理委託も、その「質」が問われる時代となるのです。せっかく管理をお願いしているのに、空室についてなんとかするよう要望すると、ただ単に「家賃を下げましょう」と言っている管理会社は、変更されてしまうかもしれません。
 「自主管理」か「管理委託」か、という二者択一ではなく、「自ら学習するかしないか」「管理会社の言いなりか、彼らを選ぶ目を持つのか」という選択なのだと私は思います。