TOP満室経営のツボvol.92

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.92

2018.08.20

リース設備の違約金規定と
売却時のリスク。

昨今では、インターネット設備や防犯カメラ、あるいは宅配ボックスなど、様々な住設が空室対策として投入されています。
こうした設備には、「途中解約すると違約金が生じる」ものが出ています。
今回は、こうしたケースで「売りにくくなるな」と感じる場合のことを論じます。

写真はイメージです

設備はリース契約すれば
経費になる?

 空室対策の設備は、例えば防犯カメラ・宅配ボックス・無料インターネットと多様になってきました。これら設備は、ポータルサイトの検索項目にもなっているため、空室対策には有効なアイテムです。
ところが、そのまま買取すると「資産価値向上アイテム」と考えられ、相続時には物件価格に上乗せされた資産として考えられてしまいます。それでは税務上はメリットが薄いどころか、固定資産税や相続税ではデメリットとなります。そこで、よく使われるのがリース契約です。なんでもかんでもリースにすればいいわけではありませんが、一定の条件を満たせば、「経費」として計上できます。企業が、営業車などを資産として購入せず、カーリースなどにして経費計上する事はよくある事で、税務上のメリットがあります。

簡単に解約されない為の
違約金条項

 こうしたリース契約では、一定期間使い続けることを前提した契約が多く、それを破ると違約金が発生するケースがあります。
そもそも、経費として計上しているので、買取しているわけではなく、この違約金の条項があるのはおかしな話です。税務署の判断では、「これではただの分割払いではないか」と思われるのではないかとも心配されますが、簡単にリース解除されたくないため、「〇か月間」「〇年間」は解約した場合は「違約金が発生します」といった契約があるようです。
 税務上の判断は、税理士さんに相談して頂くとして、この違約金の条項が「売りにくくなる」と懸念を持たれる方が出始めています。

売却時に、契約継続できなくなる
可能性

 たとえば、防犯カメラをリースでつけた物件。売却時に、「この防犯カメラは、いらない」と購入しようとする投資家が言うと、売却側のオーナーには違約金の問題が発生するのです。
 もしそんなことになったら「売りにくくなる」と考えるオーナーがいて、今設備強化を逡巡するという話です。
「このままだといずれ売ることになるかもしれない。だったら売りにくくなる可能性がある違約金のあるサービス・設備は導入しないでおこう」という判断です。

入居者への入居条件は
安易に劣化出来ない

 しかし、入居者の視点で考えてみましょう。「AというオーナーがBという投資家に物件を売った」というケースでも「Cという入居者はその入居条件は継続されます」。当然、住んでいる人は大家が変わろうがなんだろうが、日々の生活は継続されます。
 そのとき「大家が変わったから、防犯カメラがなくなる」とか「解像度が落ちる」とか「ダミーカメラに変わる」とかは許されるものでしょうか?
 「大家が変わったから、宅配ボックスは、とります」「オーナーチェンジで明日から、ネット遅くなるけどいいよね」とか、入居者目線では「なに言ってんの?」ですね。「じゃあ、家賃下げてよ」「出ていくよ」という話です。つまり、違約金条項は、提供サービスが劣化する方向では、投入しにくいのです。

 物件を売るときは、「その物件が提供しているサービスを享受している入居者を引き継ぐ」ということでもあります。
 私は、税務上のメリットや設備会社との契約上の縛りだけでなく、そのサービスを利用している現入居者への提供価値を下げないことが、賃貸経営のひとつのバトンタッチだと思っています。そういう観点で、設備強化と入居者満足度から、現状の入居状況があり、そうした環境を売却する適切な相手にこそ、売るべきだと思います。
 これまで収益をもたらしてくれた物件と入居者への感謝と敬意をもって、売却先と真摯に話し合っていただければ幸いです。