TOP満室経営のツボvol.91

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.91

2018.08.01

異常気象や災害に対する備えと戦略。

台風が逆に進行したり、台風でないのに大雨で多くの犠牲者が出たり、今世界中が異常気象に見舞われています。
津波や震災も考えると、ハザードマップで安全な場所を見つけるのは難しいぐらいです。
収益物件オーナーはどのような事に気を付けるべきでしょうか?

写真はイメージです

これまでの常識が
通じなくなっている

 昨今の自然災害は地球規模でこれまでの想定の範囲を超えています。西日本での豪雨災害の際、「あんな所に建築するからだ」といった容赦のない言葉が浴びせられたことがありましたが、同じ日に京都では弥生時代の古墳が流れています。つまり、2000年以上残っていた古墳が流れたという事は、有史以来の常識が通じないという事でもあります。
 実は、ハザードマップは東日本大震災以降、過剰なまでに塗り替えられています。それまでの想定とは、震度も津波の高さも計算が異なるためです。
 例えば、自分の住んでいる街の地図の上に「津波」「水害」「土砂災害」「地震」のハザードマップを重ねると、どこにも安全なところがないぐらいです。
 こうなってしまうと、もはや、「絶対安全な場所」を探すほうが困難であり、常にリスクを考えて対策をとる必要があります。

火災保険で台風の対応も

 リスクヘッジといえば、保険という手段があります。事故や災害を防ぐというよりも、起こった時の保証という観点で保険は有効です。
 火災保険は火災の際にだけ適応されるものではありません。補償される事故の種類は火災保険の商品によって異なりますが、住宅を対象とする一般的な火災保険では、例えば台風で瓦が飛んでしまった、あるいは飛んできたものがぶつかって建物が損壊した場合等の「風災による損害」は補償対象となります。
 ご自身の火災保険の対象がどこまでなのか、今一度確認しておきましょう。

地震に伴う火災は、地震保険

 地震保険は、単体では入れず、火災保険の特約として入ることになります。地震保険は、地震だけでなく、火山噴火による損害も補償対象となります。
 また、地震にともなう津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失による損害は、地震保険の対象です。日本は地震国家ですし、万が一の備えはあったほうがよいでしょう。

分散投資で
少しでもリスクを抑える

 Vol.15では分散投資という考え方を述べ、Vol.16で「物件の選抜総選挙を」というコラムでも書きましたが、特定の地域に集中して物件を所有しないこともリスクヘッジとなります。災害が局所的に強くダメージを受けた際に、ご自身の物件がすべてそこに集中していれば、当然、損害もそれだけ大きくなります。例えば、河川の川下の片側の地帯だけが浸水したというようなこともあり、集中して物件を持っていたオーナーは大きな損害を被っています。
 街中や山側など、複数のエリアに分散して所有場所を変える事は、災害リスクを低減する方法のひとつでもあります。

物件オーナーとして、
行政にも意見を

 収益物件のオーナーは、事業家でもあります。物件を建てて家賃収入を得るというビジネスを行っている事業家です。その存亡にかかわることが、災害対策でもあります。
 住人として行政に働きかけるだけでなく、ビジネスを行っている事業者として、危険な場所としてハザードマップに記されているのであれば、その対策を積極的に行政に働きかけるべきです。
 これだけ異常気象や、地震が起こり、賃貸経営に対するリスクが高まっているのですから、その対策に税金を投下するように要請する事は、ビジネスの当事者としても当然のことなのです。物件の資産価値を守るためにも、「万が一」を「百に一つ」とリスクが上がる道ではなく「10万に一」「1000万に一」とリスク回避を強化すべきことはいうまでもありません。
 もちろん、過剰な治水工事が景観や生態系を破壊する可能性については、論点として存在しています。が、一方で、「過去に例のない災害」が続発しているのですから、物件を守るための意志を政治や行政に示すのは、賃貸経営を行うものとしては当然でしょう。

日頃から、物件の住人の
コミュニケーションの機会を

 所有物件のハード面での強化も必要です。新耐震基準の物件にする事は、空室対策という点だけでなく、もはや、物件を守り、住む人を守るという観点でも必要です。エレベータの非常用設備や備蓄食料、あるいは電気ガス水道ネットといったインフラの強化は必要です。特に高架水槽は災害時のリスクが高いので、老朽化している場合は、違う方式も検討されたほうが良いかもしれません(老朽化していなければ、貯水量が多いという災害時メリットはあります)
 一方で、物件の「ソフト面」はどうでしょうか? 例えば、「避難訓練を実施してみたら、車椅子の住人がいると知り、日頃から声をかけるようになった」「バーベキュー会を開いて仲良くなっていたので、いざというときに助け合いが自然とできた」「日常から『おはようございます』『こんばんは』と挨拶をしようとポスター掲示をしている」など、災害が起こっても助け合える住まいにしていこうと行動を起こしているオーナーもいます。
 備えあれば憂いなし。今こそ、自らの物件の災害への備えを考えていきましょう。