セミナー予約受け付け中!

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.85

2018.05.07

生活者の視点で考える物件の弱点。
決まらなかった理由を把握しましょう。

長く空室で困っている物件。「築年が古いから」という言葉で空室の理由を片付けてしまうのは考え物です。では、どんなところに課題があるのか。そんなエピソードをご紹介します。

写真はイメージです

築15年で、
空室が決まらない

 相談いただいた物件は、築15年。「築年が長くなるとなかなか決まらないものですよね」と言われたものの、どうも釈然としません。講演後に呼び止められただけでしたので、場所と賃料と設備をお聞きすると、さほど遜色がない。そんなに悪くない打ち手を講じているにも関わらずなぜ、決まらないだろうと思いました。聞けば、内覧も毎月定期的にあるにも関わらず、それでも決まらない。

築年を理由にしてしまうと、
探求が止まる

 「先生が講演でおっしゃった、バストイレ別・エアコン。温水洗浄便座。ネット無料をしてステージングやアクセントクロスも実施しているのですが。やっぱり、築年が経過すると空室は出るのですね」とオーナーの諦めにも似た反応。これでは私も乗り掛かった船としては、ちょっと降りにくいものです。後日、募集図面を送ってもらい、ポータルサイトの当該物件のURLを送ってもらいました。

玄関を開けると

 間取りを見てやっとわかりました。玄関を開けると部屋の中が丸見えなのです。例えば宅急便や店屋物を受け取る際に、部屋の中が丸見えになるというのは、かなり恥ずかしいことです。にもかかわらず、アクセントクロスは女性系の色調。これでは「内覧をして、いざ生活するとなると、玄関から丸見えでは恥ずかしい」と、断念してしまう。他の物件の引き立て役になってしまっていたのです。

丸見えの部屋を隠す
パーテーションを設置

 間取りが悪いからと言って、すぐにリフォームするのは投資がかさみます。宅配ボックスの導入も考えましたが、店屋物や速達の配達でも玄関先まで第三者が来ることがあります。男性向けの壁紙に変えたところで、やっぱり部屋の中が見える抵抗感はあるはず。
 そこで、間取りはそのままで玄関先にルーバータイプのパーテーションを設置。その前にボックスを置いて、シューズボックスや小物置場にしてもらいました。コート立てや帽子もおけるようハンガーも置いてもらうと、次の内覧で成約しました。さほどの経費が掛からず課題解決したのです。

決まらなかった理由を聞く

 こうした物件では、致命的な欠点にオーナーが気づいていない事が最も大きなポイントでした。
 「玄関から丸見え」という欠点に気が付けば、対策はそこに集中すべきでした。しかし、エアコンをもう一台つけるべきか、家賃をもう一段下げたらいいのか、はたまた高速のネット回線を引くのか・・・。こうした打ち手を講じる前に、なにがネックになってほかの物件に決まっているのかをしっかりと確認すべきでした。
 実は、見学時に入居希望者は「玄関から丸見えだからなあ」とつぶやいていました。しかし、ほかの物件に決まるのですから、仲介の営業マンはさして気にも留めていませんでした。しかし、鍵を貸して内覧してもらっていたのです。オーナーか管理会社が「せっかく内覧してもらったのに、決まらなくて残念です。どんな感想を言われていましたか?」と聞いていれば、玄関から丸見えという欠点に気付くことが出来たかもしれません。

入居者の生活観と
オーナーの生活観の違い

 「間取り図を見て気が付けばよい」のかもしれませんが、実はオーナーは「玄関から丸見え」がそんなにマズイと思っていなかったのです。賃貸物件はそういうものだろうと思っていましたし、入居者の生活の変化にも気が付いていませんでした。そもそも、オーナーは、「ネット通販は怖くて使わない」「店屋物を頼むことなどありえない」というライフスタイル。入居者の生活観とは違っていたのです。

 そもそも、新築の時は埋まっていた、ので、決まらなくなったのは築年を経過したせい、と考えてしまうと思考が止まります。なぜうちの物件は決まらず、ほかの物件は決まるのだろうか。日々、接している仲介会社の営業マンの話にも耳を傾けて、空室対策を考えていきましょう。