関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.84

2018.04.18

築年と寄り添って闘っていく

ジャイアンツに上原投手が復帰し、スワローズには青木選手が復帰しました。大リーグで活躍した選手が古巣に戻って活躍できるかどうか、とても楽しみですね。
さて、投手は歳をとると球速が落ちます。新人の頃は剛速球投手だったのに、毎年球速が落ちていくのに、勝ち星を重ねる選手がいます。
こうした「工夫」を「築年を経た物件」に応用してみましょう。

写真はイメージです

新人時代は
強気の速球

 新人のころから、コントロールばかり気にして投げていても、プロにはなかなか通用しません。若さに任せて、エイっとなげた速球は、相手打者の空振りをとれることもあります。そう大切なのは勇気です。
 新築物件も勝負は剛速球です。多少家賃が相場より高くても「新築だから」という魅力があります。強気の攻めは利回りをよくします。新築から築浅のタイミングでは入居率は高く期待できるので、むしろ新人らしく速球勝負が良いでしょう。

新築時の速球が
通用しなくなる

 しかし、新築時の速球は一年で投げられなくなります。当然ですが、翌年からは「新築」とは言えません。すると、築1年と築5年で、物件スペックに大差はありません。どちらも、バストイレ別・エアコン付き・温水洗浄便座付き・フローリング。となると周辺相場より割高なストレートは、今までのように通用しません。
 「高いなりの何か」は必要となります。長くプロ野球で活躍するアスリートは、それまで投げていなかった変化球に挑戦したり、打者との駆け引きを駆使したり、あるいはまったく同じフォームで違う球速を投げたりと「工夫」をします。そう、賃貸経営では、築1年で、工夫が始まるのです。

もともとの力の差

 この際、「そもそものパワーが強い打者」「もともと身長が高い投手」が有利なように、素質の差はあります。ようするに立地です。「もともと駅に近い」「学区がすごく人気エリア」「大学や工場など新規流入が多い施設がある」という立地の差は、空室リスクが少ないのは当然です。そういう土地を持っていればラッキーですし、親から相続できればラッキーです。もともとパワーがある外国人選手や、非常に身長が高くボールの出どころがつかみにくいという個性は、ある意味親からもらった個性です。
 では、そうした「立地」でないならば、「努力」が必要です。

アスリートは練習し研鑽している

 では、「この訓練をすれば必ず変化球がすごくなる」という手っ取り早い方法などはありません。各々のアスリートが自分の個性の長所・短所を考えて、フォークボールを覚えたり、スプリットを覚えたりと工夫を凝らします。
 物件も同様で、「空室が出たら、〇〇をすればいい」というほど簡単ではありません。DIYが効くところ、リフォームの効き目がいいところ、あるいは外国人の入居を推進したほうが良い物件など、マーケット環境や物件の個性によって様々な手法があるものです。その見立ては重要で、「同じ手法では違う物件、違う場所では通用しない」こともありますが、「他の物件の成功事例・失敗事例を学習」し「自ら挑戦し、経験を積む」ことは間違いなく大切です。

なにもしなければ
必ず球速は落ち、打たれる

 アスリートは、ピークを過ぎるとスビートやパワー、視力や瞬発力などが必ず落ちます。まさに老いとの闘いは始まります。
 我々の物件も同様です。必ず、築年とともに物件は劣化し、魅力は落ちます。斬新だったデザインは陳腐化し、当時の最新設備も、どこにでもある設備になってしまいます。だからこそ、「別の工夫」が必要になります。

若手をリスペクトし、
若手では出来ない魅力を創る

 近隣の新築物件を「そんなものが建つから空室になるのだ」と嘆いてみても仕方ありません。すべてのアスリートは体力のピークを越えると、若手に抜かれるという脅威と戦います。
 そのとき、若手と同じ剛球を目指しても無理があります。熟練ならでは、「若手ではできない工夫」をするはずです。
 では物件はどうでしょう? 周辺新築はIoTなど対応し、さらに間取りも広く、ウオークインクローゼットまでついている。となると「同じ土俵」で闘うだけでは難しいでしょう。ネット無料ぐらいは取り組むべきですが、間取り変更までするとフルリノベーションとなります。そうした物件再生という手段もありますが、「DIYしていいですよ」「壁紙を選べますよ」「ペットも飼っていいですよ」「シェアハウスも歓迎です」と、新築がなかなかやらない工夫をして、変化球でかわしていく必要もあるのです。

 ベテランのアスリートが工夫して勝ち続ける姿には学ぶべきものがあります。彼らはかつての栄光にしがみつくだけでなく、自らのスタイルを変え、若手とは違う工夫を取り入れています。収益物件の築年が積まれるほど、私たちのトライ&エラーの経験も積み重ねが蓄積されるものです。熟年物件ほど工夫をして空室対策。是非とも、アスリートに学んで努力をしていきましょう。