TOP満室経営のツボ相続vol.8

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.8

2015.02.13

見積もり最安値の安い建物ではなく
地域で評判の賃貸物件を経営しましょう

前号では、相続税対策そのものには有効な賃貸経営も、賃料ダウンや空室リスク等様々なリスクが伴う事を論じました。
今回では、その対策編。失敗しない為の資産活用のポイントを述べさせていただきます。

写真はイメージです

人口は減って行くのか。物件は増えるのか。

まず、市場の見立てが大切です。「そんな難しい事を・・・」と思われるかもしれません。前号で登場した、税理士さん・銀行・建設会社に、各々の見立てを尋ねてみましょう。物件周辺の人口はどのくらい増えるのでしょうか。日本はこれから人口が減ります。無謀な見立ては危険です。そして周辺に今後も物件は建ちます。建てた瞬間は、希少価値の高い新築です。満室になっても、未来を保障しているわけではありません。今後も開発が進み、新築物件が建設されるとすれば、競争相手が増えるという事です。
少なくとも、未来は「家賃相場が下がる」という前提で試算をしましょう。「景気が良くなるのできっと家賃も上がるでしょう」という甘い見立ては危険です。人口は減り、競争相手は増え、物件は築年を経るのですから。

おじいちゃんおばあちゃんに任せない。
ひとりで決めない。

相続税対策では、前号のように「子供や孫に相続税で迷惑をかけたくないから」と、良かれと思って、高齢者が決断されるケースがほとんどです。お子様たちは、地元を離れ、都心で暮らしていて、あまり会話もないというケースもあるでしょう。そうなると、10年後20年後の予測が、十分検討されないまま、契約が進んでしまう事があります。
「相続税で迷惑をかけたくない」という気持ちで始めた賃貸経営が、実は、建築費のローンや、修繕費の実費などの負担を、お子様や孫に背負わせてしまうかもしれません。
ですから、土地活用の議論は、家族みんなでよく話し合って進める事をお薦めします。働き盛りのお子様世代の論理的な考え方は、正しい判断の基準となりますし、お孫さんたち若い方の感性は、魅力的な物件の最新傾向を占うものです。
相続や資産活用は、家族全体の問題として考え、少なくとも高齢者ひとりに任せてしまわないようにすべきでしょう。

修繕費等の長期計画を。

物件は必ず古くなり痛みます。それは不測の事態ではなく、ある程度想定される事です。建築費用だけにどうしても目がとらわれがちですので、修繕費用や改修工事の費用、あるいは将来のリフォーム等、経費面についても長期計画を建てて行きましょう。
また、「ここまで家賃が下がったらどうするか」「ここまで空室が増えたらどうすべきか」といった点を、不動産会社とよく話し合っておくとよいでしょう。できれば、建設をする建設会社だけでなく、ずっと管理をお願いする管理会社とも話をしましょう。場合によっては、「ここまで厳しくなったら売ろう」といった出口の議論も必要です。経営ですから、全てが上手く行った時の事だけ考えて投資をするだけでなく、最悪の事態の際の撤退プランも想定すべきです。厳しい未来を想像するのは苦痛ではありますが、リスクヘッジは経営ですから必要です。

大好きなこの街に、
住まいを創る喜びを実感しましょう

きっかけは、相続税対策でした。でも、その動機は、入居者には全く関係ありません。だったら、入居者にとって、どんな所が周囲のほかの物件よりも魅力なのかを考えてみましょう。前号で「ラーメン店を建てて税金対策に仮になったとしても、繁盛するかどうかは別の話」と述べました。だったら「上手いラーメン店になる」と決めればいいのです。
建設会社の見積もりで、一番安い見積もりが、一番儲かる見積もりかというそんなことはないのです。安い建物は、広さや設備、防音面や構造等で、魅力が低く、築年を経ると退去が増え、入居獲得が難しくなるものです。
「どんな物件だったら、自分は住んでみたいか」「どんな物件なら孫は住んでみたいのか」「どんな物件なら、知り合いにも薦められるのか」。こんな視点で考えてみましょう。
「高い相続税を払って、少しでも先祖代々の土地を手放したくなかった」という気持ちの奥には「だって先祖が住んできたこの街が好きだから」という情熱があったはずです。そして、自分が建てた物件に地域の人が住み、街を豊かにし、子供や孫たちにつないでいく。そんな素敵な事業が始まります。
賃貸経営にはリスクが伴いますが、それはどんなビジネスにもリスクは伴う、という事です。そのリスクを超えて行く力は、地域や物件に対する愛情そのものだと思います。

長い付き合いをする、パートナー選びを。

賃貸「経営」という言葉をここまで、何度も使ってきました。経営というのは、難しいものです。大家さんひとりが全てを抱えても、これから人口は増え、難しいかじ取りが必要となります。
ですから、頼りになるパートナーが必要です。空室が増えたとき、クレームが入った時、物件の故障や修繕の時、信頼できるパートナーを選ぶ。それが、実は、これから賃貸経営を始めようとする時に大切な事なのです。
ころころと担当が変わってしまうような会社ではなく、末永く、子供や孫と物件を守ってくれるパートナーを選ぶ事。プロとして、的確な判断をしてくれるいわば航海士のような存在が、いてくれてこそ、これからの荒波を乗り越える事ができます。
賃貸経営は、実は、街を創る、とても素晴らしい仕事です。目先の数字に惑わされず、長い目で判断して行きましょう。