TOP満室経営のツボvol.77

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.77

2018.01.10

民泊の取り締まり強化。
新しいサービスはしっかり根付くのか。

規制緩和の象徴として期待されていた民泊。アベノミクスの3本の矢の中で、景気を押し上げる矢として民泊新法が成立しました。これを機会に空室で困っている物件はホテルとして稼ぐスペースに変わるのか。しかし、その船出はいくつもの障害に阻まれそうです。
今回は、民泊の最新動向について解説します。

写真はイメージです

違法民泊は。
募集が出来なくなる。

 観光庁が、AirbnbやHomeAwayなどの民泊サイト宛に、掲載物件が適法であるか確認できない物件については、住宅宿泊事業法(民泊新法)施行日の6月15日までにサイト上から削除するよう通知しました。
これは、国交省ではなく、観光庁発信です。
サイト側が民泊物件の掲載主に対して許可番号などを入力させる事で、事実確認をします。つまり、ちゃんと届け出をしていないところは募集活動が出来なくなります。
民泊新法の枠組みで営業する民泊事業者(ホスト)については、登録番号を確認できた場合は6月15日の民泊新法施行前においても掲載を認めます。民泊開始可能前からでも、募集は可能という事になりますが、ここでも登録番号が必須となり、いわゆる違法民泊を排除します。
グレーゾーンどころか、ブラックである民泊もこれまでは、こっそり募集して民泊経営が出来ていたのですが、これが出来なくなる。今まで、危ない橋を渡りながらも、アンダーグランドで儲けていた人は、今後は排除されることとなります。

問題を起こせば、
登録番号を取り消せば、
行政は募集を防ぐことができる。

「なんだ、だったら届け出とやらをすればいいだけじゃん」とも解釈できますが、ここには重要な意味があります。例えば近隣からの苦情が多いとか、違法行為が行われていたといったケースでは、この登録番号を取り消すことで募集活動を制御できることになるのです。
こうした運用になった背景は、各地で民泊のクレームが入ったことが影響にあるのでしょう。また一部の民泊で、殺人事件や強姦事件、あるいは盗撮などがあったことも事実であり、そうしたケースに、ビジネス継続をさせないためにも有効な措置であるといえます。

民泊新法対象物件以外にも、
登録が義務付けられる。

 民泊新法以外の形態でも、
・旅館業法に基づく許可物件の場合は許可番号や所在地の入力など。
・イベント民泊の場合は自治体からの要請状など。
・特区民泊の場合は施設の名称と所在地の入力が必要になります。
 規制緩和というよりも、この点では規制強化。「いたしかたない」と思うか「けしからん」と思うかは、皆さんの主義によってまちまちかとは思いますが、これにより犯罪発生などのリスクを回避しようという動きなのでしょう。

日数上限にも、
システムでのカウント義務。

 また、民泊新法や民泊条例によって規定される年間上限営業日数を超えていないか確認するため、仲介サイト側には毎年4月15日と10月15日までに、それぞれの月の前6カ月分を報告することになりました。ここも予約サイトでの予約日数管理が厳格化される事になります。
「180日制限って言われて厳しいなあ。でも誰も数えられないんじゃないの」とタカをくくっていたら、決済の仕組みも持つAirbnbなどのサイトで日数報告の義務が出来ると厳格化は進むでしょう。それでも号室番号を変更するなどといった不正行為は抜け穴のようにあるのかもしれませんが、いずれ見せしめのように摘発がされるのではないかと思われます。

本来は規制の前に
事業者での自主規制やルール作りが
必要だったのではないか

 私は、このコラムでも何度か述べてきましたが、むしろ民泊を行っていた事業者が「こんなふうにしたらとっても理想的な民泊になりましたよ」と良いナレッジをたくさん発信し、「良い事例の推進」を行う事で、それがロールモデルとなり、自主ルールや指針などになっていき、世界でも類を見ない素敵な民泊へと磨き上げていくことが出来るのではと期待しておりましたが、残念ながら「悪い事例」の話ばかりに注目が集まり、それを規制するルールばかりが先行し、トライアルの大きな妨げとなってしまった事は残念に思っています。「だから政治が悪い」というのは批評家批判家の論に過ぎず、あまり天に唾を吐いてもよいことはないのですが、もっと「良質な民泊を磨き上げ、ナレッジ化する」ことが特区などであまりできなかったことが残念です。

各自治体が、さらに規制強化

 こうした中、民泊新法に先立って、各地でより厳しい条例が可決されています。6月施行の民泊新法を巡り、国と地方自治体の思惑がぶつかる。土日以外の民泊を認めないという自治体が現れたり、住宅専用地域を民泊対象から外すという自治体が現れたりしています。
 これはかなりどうかと思います。
 そもそも平日に泊りたいとか、住宅地で静かに日本の畳の部屋で眠りたいという旅行者もいるはずです。あまりに過敏に性悪説にたって、まだなにも起こっていない地域で規制強化をする動きは、「地方自治体の自治権」というよりは「オオカミが出た」というような過敏な対応に感じます。リスクヘッジは全国法で厳しくもスタートした。地方自治というのは、その緩和にこそ、各自治体の許容範囲として認めるべきであり、過敏に規制を進めていくと、新しいビジネスの芽を摘み取ってしまうことになるのではないでしょうか。

新法スタートからこそ、
この船出での成功事例を集めよう

 前途多難な民泊スタートとなりそうです。しかし、その一方で、規制が何やらうるさいからと、簡易宿泊所としてちゃんとビジネスを始め、人気のホストとなっているケースもあります。
 そもそも、民宿やホームステイ、あるいは山小屋など家主滞在型のショートスティのサービスは民泊前からありました。そこにはあったかいおばちゃんがいたり、みんなで楽しくご飯をたべて雑魚寝をするような世界もありました。また民泊開始前から、漫画喫茶やカラオケボックスで夜を明かす人たちもいました。そうした様々なビジネスはそのビジネスの中でリスクを最小限にとどめ、そのビジネスならではの、サービス改善が行われてきたのです。
 民泊新法がスタートしてからこそ、「こんな楽しい家主不在型の民泊」が世に沢山出てくるチャンスでもあると思います。旅行者に、友達にも紹介したいと思われるようなサービス・設備改善などがより進んでいくことを期待しています。