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ヒント集

vol.76

2017.12.18

入居率99%でも考えるべき
空室対策。

熊本での震災からもうすぐ2年。大きな災害はたくさんの被災者をうみ、仮設住宅のかわりに賃貸の空室への入居が民間の支援で促進されました。その結果、熊本のとある会社では入居率が99%。実は、この会社のオーナーセミナーで私が空室対策の講演をしました。なぜでしょう。
それには東日本大震災の教訓があったのです。

写真はイメージです

東日本大震災で満室になった東北。
今、空室が増えています。

 東日本大震災があった東北では、熊本同様に被災者に対して、賃貸の空室がみなし仮設住宅として提供されました。結果的に仙台・福島では賃貸物件が埋まり、空室がほとんどなくなりました。なにしろ住める家が少ないのですから、需給バランスは崩れ、満室稼働が続きました。
 この間、仲介会社としては「なんか住める家」を紹介し、入居希望者は「抽選でもかまわないから住むところを確保」という図式になります。リフォームや設備強化などしなくても、満室になるのですから、大家さんは左うちわ。仲介専業はとたんに仕事がなくなり縮小し、管理会社は満室を背景に安定経営となりました。
 ところが、復興で新築が積極的に供給されていきます。みなし仮設の制度もいよいよ終わるころには、入居希望者は「たくさんの物件の中から住みたい部屋を選ぶ」というほかの地域と同じ現象になります。むしろ被災して劣化した物件vs最新の新築や築浅物件という闘い。ここへきて次第に空室が増えていきます。

5年間、
「空室対策」を考えなかったツケ

 空室対策を得意とする私もなかなか講演に呼ばれませんでした。仙台や福島は満室ですから、上野の出番がなかった、という事です。ところがこの1年で8回の講演。急に空室対策が必要となります。
 ところが、5年間空室対策をしてこなかった古い物件は、新築に対してかなり見劣りします。それだけでなく、1年目から5年目の社員が空室対策の経験がありません。大家さんも満室で全国で行っている空室対策を知らない。
 金沢で姫部屋が登場し、東京でDIYやカスタマイズがはやり、愛媛では壁紙が選べ、淵野辺ではキッチンが登場しているのに、仙台・福島は学習機会を失っていたのです。今、慌てて、「とうしたに満室になるのか」を勉強し、空室対策に取り組んでいるというわけです。

熊本の大家さんは、
真摯に未来を考えています

 熊本の震災時には、多数の東北の不動産会社の方がボランティアとして活動されました。東日本大震災の経験でどう対応すべきかを教えてくれたのです。様々な物件のクレームやお部屋探しの対応、官公庁とのやりとりなどを、経験をもとに指導してくれた東北の雄。その雄たる人たちが「こんな満室はいつまでも続かない」「空室が出始めると苦戦するよ」と教えてくれたのです。こうした先人の教訓が、「まだ入居率は高いけど空室対策を考えておこう」「もし投資が必要なら、低金利で消費税増税前の今だ」と綿に空室対策の講演をしてほしい、という動きになっているのです。本当に素晴らしいと思います。

収益物件の未来を考える

 では、熊本以外で収益物件購入考え、今、満室経営をしている、このコラムを読んでいる皆さんはどうでしょう?
 満室であるのに、未来の空室対策のためにわざわざ追加投資をするでしょうか? ごく普通に考えれば「まあ、空室が出て損益分岐を超えたら考えよう」ではないでしようか。
 しかし、その時は、金利が上がり、消費税はアップし、家賃相場は下がり、手持ちの投資は厳しくなるかもしれません。
 熊本の大家さんの真摯な姿勢を見ると、収益物件の投資家の皆さんも、余力があるうちに、将来の空室リスクに備えて、やるべきことはやっておくのもいいのでしはないでしょうか?