TOP満室経営のツボvol.74

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.74

2017.11.22

ほしい設備を入れれば
空室対策になるのか。

昨今はなんでもランキング。「住みたい街ランキングでどこそこが〇位」というような記事は、特にネットではビューを稼ぎ、鉄板企画のようです。
ではこのランキングを頼りに空室対策をすればいいのか。今回は「そんなわきゃない」というお話です。

写真はイメージです

「ほしい設備」は検索されやすい

 「ほしい設備ランキング」は、ある種マーケティングとして、今物件選びに重要なデータです。なぜか。その項目で「検索されやすい」からです。
 「エアコン」「バストイレ別」「温水洗浄便座」「駐車場付き」はどんな調査でも「ほしい設備ランキング」が高い。ということは、今はネット上に物件があふれていますから、その項目で「物件を絞り込みやすい」のです。
 実際に、入居希望者の気分で検索してみるとよくわかります。「〇〇街で単身物件に住みたいな」と漠然と思えば、「山ほど物件が出てしまう」。これを全部見比べるのは大変ですから、なにかで「絞り込み」をします。
 アンケート用紙で「ほしい設備は何ですか」と聞かれて〇をするものと、ネット上で「絞り込むときに選ぶ項目」は大差がないのです。
 と、私が書くと、「ほしい設備ランキング」の順に強化すれば空室対策に有効、という話になるかと思うと、実はそうではありません。

検索項目にないと、絞り込みはされない

 大半の人がポータルサイトで検索します。この項目と「ほしい設備ランキング」の項目が一緒なら、そりゃ連動します。ところが、ネット上に「そんな検索項目がない」という事があるのです。
 例えば、「エアコン2台付」。アンケート用紙で「ほしい設備はなんですか」で「エアコン2台」というのがあれば〇をつけますね。その結果を見て、空室対策にエアコンを2台つけたとします。ところが「エアコン2台付」の検索項目はまだありません。ないなら絞り込めないので、検索時は関係ありません。見学した何物件かで、「A物件はエアコンが1台だけど、B物件はエアコンが2台」という択一状態になって初めて有効になります。
 「室内物干し」「太陽光パネル」「断熱仕様」「防音床」「防音壁」「ホルムアルデヒド対策」等は、それが検索項目にないので「ほしい設備」であっても、少なくとも「検索されるかどうか」には関係ありません。絞り込み画面は特に重要で、既に圧倒的にスマホを使うのですから、スマホ版のポータルでの検索項目こそ重要です。

マーケットにありすぎても、ダメ

 次に、マーケットに沢山あるものは、空室対策に有効ではありません。
 例えば「エアコン」はどこのエリアでももう、8割ぐらいはついています。バストイレ別は、9割ぐらいです。
 しかし、昭和の時代には、ほとんどバストイレは一緒でした。時代の流れは速いですね。では、「私の物件はバストイレ一緒なので、バストイレ別にするセパレート工事をしよう。ほしい設備ランキングで上位だから」は、厳しいのです。なぜなら、その投資をしても、マーケットの9割の「普通の物件」になるだけなのです。
 これが「リフォームしても決まらない」という現象です。
 リフォーム会社の社長が言っていましたが「恐ろしいほど普通」というやつです。「エアコンもつけて温水洗浄便座もつけたのです。有名なサイトでもほしい設備ランキングの上位で、編集長も太鼓判なのです」という大家さんに会いました。きわめて「普通の物件」になって埋もれただけでした。
 今は物件があふれていますから、「人気の設備を上からつけて」も画一化された普通のものになるだけです。いっそ、「バストイレは一緒だけど、外国人が沢山入居していて国際交流できる」といった個性があるほうが決まるはずです。外国人は湯船につかる習慣はありません。「バストイレ一緒ですが手すりもあってバリアフリー」なほうがお年寄りに好評だったりもします。

「あったらいいな」は「実はなくてもいい」

 マーケットにあまりにない機能も、実はランキング上位でも空室対策に役立ちません。例えば「ミストサウナ」「コンシェルジェ」「ディスポーザ」といった機能です。これら設備は、賃貸物件ではほとんど普及していません。ほぼありません。しかし、ほしい設備のアンケート用紙が配られたら、
あら、あったらいいわよね、と〇がつく件数が増えます。
 こうした先進設備は、分譲マンションにあります。そして分譲マンションが賃貸に出るため、希少価値として「いい設備」です。ところが、もともと賃貸の物件にこれをつけると、ライバルは分譲物件になるので、内見で負けてしまうのです。
 そもそも「ほしい設備」には「できればほしい」のか「絶対ほしい」といった欲求の濃度がないケースがあります。(こうしたものがあるアンケートもあります)
 また、「コンシェルジェ」のような項目で検索すると「検索結果ゼロ件」などと絞り込まれすぎて、あまり使われない検索項目となってしまいます。ディスポーザなども同義です。また、まだ賃貸に過度なサービスなのか「あったらいい」けど「なくてはならないほどではない」ため、空室が埋まるほどの動機形成を醸成しにくいようです。

「ほしい設備」ランキングは、
カテゴリーで本来違う

 先般相談した大家さんは、1Fの単身の間取りが空いてしまい困っていました。そこで「ほしい設備ランキング」上位から、空室対策投資を行いました。「追い焚き機能」「ペット可」「シリンダーキー」などです。
 しかし、単身の1Fに必要な機能でしょうか? 1Fはどうしても女性には防犯面で敬遠されがちです。実際に下町で労働者が多いこのエリアでは、ブルーカラーの男性単身が多く、近隣物件はバイク庫が良かったり、ネット無料にしたり、ダウンライトの照明にしたり、レンガ調の壁紙にしたりと、単身男性をターゲットにしていました。
 「追い焚き機能」はファミリーに人気の設備です。旦那さんと奥様の入浴時間が異なるためでしょう。あるいは女性であれば半身浴などでニーズがあるかもしれませんが、単身男性ではなかなか利用する機会はありません。
「ペット可」はどうでしょう。一人暮らしでは、愛犬は一匹でお留守番の時間が長くなり、寂しさが募るようです。女性を中心にネコも人気ですが、男性単身はどうでしょうか。
「シリンダーキー」による防犯対応は悪いことでは決してありません。ランキングも高いのですが、こうした防犯に感度が高いのは女性やファミリーに多いニーズです。
つまりランキングが悪いわけではありませんが、自分の部屋のタイプや地域特性でターゲットは異なるものです。こうしたことを留意しなければなりません。

ランキング下位でも
「強いニーズ」がある事が

 例えば、防音マンション。楽器が演奏できるような物件。設備ランキングでは決して高くないはずです。すべての人が楽器を演奏したわけではありませんから。しかし、演奏する人にとっては「なくてはならない設備」という事になります。
 つまり「人数は少なく」ても「強いニーズに応える機能」は、物件が余る今の時代ではキラーアイテムを持つといえるのかもしれません。
 「ペット可」物件で「大型犬は飼えません」というのは簡単ですが、逆に大型犬を飼っている人にとっては「私の家族同然の愛犬を手放せというのか」というくらいのニーズがあるわけで「大型犬も可」とすることでの空室対策の効果は高いものです。しかし、当然、「大型犬も可」は人気設備にはなりません。出現率が少ないのですから。「ラグビーをするからCS放送が見たい」「スマホゲームをするから高速回線は絶対ほしい」など、思いもよらないニーズもありえます。
 とするならば「人気の設備ランキング上位からの対策の投資」の「逆張り」もありえるのです。

ランキング好きの日本人ですが、私たちはここでビジネスをしています。順位だけに振り回されないようにしましょう。