TOP満室経営のツボvol.70

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.70

2017.09.19

民泊で急ぐべき対応ポイント。
信頼される物件にして差別化を。

民泊新法の法案が成立し、いよいよ家主不在型民泊が合法となります。
これで空室の稼働が高まり、儲かる・・・と考えるのは、早急かもしれません。
合法となれば、競争相手も増え、宿泊料金の競争も始まり、
「安いだけではない魅力」も必要となるでしょう。
今回は、そんな民泊に対応すべき「兆し」について論じます。
ふぅ、なんと連載70回!!

写真はイメージです

違法民泊運営者が暴行事件

 福岡市の集合住宅で民泊事業をしていた2017年7月、宿泊者の韓国人の女性に酒を出し、寝た後に暴行事件を起こした。違法民泊で届を出していなかったこの物件。一緒に酒を飲んだという事から、「家主不在型」ではなく「ホームスティ型」であったと思われるが、こんな民泊では本当にがっかりです。
 空室対策や稼働率アップという経済施策として民泊が解禁されるわけではなく、もちろんそうした側面もあるけれども、海外から沢山の人に来て頂き、日本の文化を体験してほしいというのが民泊の趣旨。そこで犯罪に巻きこまれないよう対策をすべき事は、運営する側にとっては「当たり前」のことです。

賃貸物件で盗難

 民泊だけが悪者ではありません。6月には、6万戸の管理戸数を持つ大手の管理会社の従業員が、合いカギを使って盗難するという事件が起きました。とんでもない話です。
 かつては、不動産会社の社員が合いカギを利用して殺人事件を起こすという嘆かわしい事態も起きました。未来ある医学部の学生の命を奪ったこの事件では、従業員のみならず管理会社の責任も追及し、民事では多額の賠償金の請求まで起こす事になりました。

無許可民泊の罰金が
3万円から100万円に

 政府は、2017年6月に国会成立した民泊新法において、宅建免許を持つ登録会社に運営を委託するよう定義していますが、違法民泊事業者への罰金の上限を3万円から100万円に引き上げると発表しました。
 特区以外ではグレーであった家主不在型民泊が、新法の議論で一旦「グレー→ブラック」と定義されたにも関わらず、Airbnbなどに掲載し続けていた(あるいはいる)業者の罰則強化は、こうしたリスク対策のひとつです。
 規制緩和と規制強化が同時に行なわれるというわけです。日数の上限はあるものの、最低室数や玄関帳場受け付け台の高さなどの規制は撤廃。しかし、勝手にやるなよ(取り締まりにくくなるからな)というわけです。

新法スタートで
競争がスタートする

 さて、大阪京都などで「ぼろもうけ」と言われていた民泊。今後、法制化されて参入物件が増えるとなにが起こるのでしょう。私は、「競争が始まる」と思います。
 当たり前の話ですが、これまではグレーだったり、ブラックだったりして「やらない物件」も沢山ありました。しかし、法制化されれば、「よし始めよう」という会社も出て来ます。カプセルホテルや漫画喫茶、あるいはカラオケボックスも終電を逃せば、夜を過ごせるわけですから、価格競争は激しくなるはずです。
 「家賃5万円の物件が一泊5000円で20日民泊したら10万円やでー」と言っていた状況も「180日制限で15日しか稼働できんわ」と嘆く前に、そもそも、一泊5000円が続くとは言えないのです。価格競争は損益分岐点がありますので、ダンピングだけでは勝てない。となれば空室対策同様に魅力ある物件に磨かねばなりません。

安心安全という価値提供

 となれば、すでに事件も発生しているのですから、「こちらの民泊は毎日テンキーの暗証コードが変わるから安全ですよ」といった防犯体制の強化は、より稼働率の高い民泊にする上でも有効となるでしょう。
 現状、民泊物件のセキュリティに課題感があるのであれば、その欠点を克服する事で競争優位は高まります。
 もちろん、そんなことせずとも価格を下げるという闘いも可能でしょう。先に上げた漫画喫茶やカラオケボックスのほうが簡単なセキュリティですし。しかし、いずれ損益分岐点は目の前に迫ります。だとすれば、長所である「安心して寝れる」という点の強化は有効な手段かもしれません。

体験価値の提供を考え、
もっともっといいビジネスに
磨いていきましょう。

 Airbnbの人気の宿を見ると、オーナーとバーベキューしたり、一緒にスケボーしたり、日本の茶を飲んだりと、単に寝るだけでなく、楽しい触れ合いがあります。本当は法律や罰金で縛るみたいな事ばかりでなく、人気の宿になって泊まって欲しいとする努力が健全であれば、その競争は、価格や安全性よりもさらに高い魅力となるはずです。民泊の良さとは、まさにそうした「民」の知力だと思います。
 冒頭の暴行事件の起こる前の飲み会も、本当はそんな国際交流の場だったのかもしれません。しかし、悲しい事に事件は起こってしまった。だからこそ、「儲け話」としてではなく「業として責任ある再発防止策」を講じて、世界に恥じない民泊ビジネスへと磨いていくべきだと思います。