TOP満室経営のツボ相続vol.7

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.7

2015.02.03

相続税対策としてアパート経営をする。
お客様への気持ちは、ありますか?

本年1月から、相続税が実質的に値上げされ、対象となる人もぐっと増えました。税理士さんからも、銀行からも、「相続税対策としてのアパート経営」を薦められる方が増えていると思います。
今回は、土地活用をお考えの大家さんに気を付けていただきたい事を2回に分けてお話します。

写真はイメージです

確かに相続税対策には有効な賃貸経営

2015年相続税の改正が行なわれました。この改正は「格差是正の為の法改定」といった趣旨もありますが、実質的には増税となります。
特に大きいのは、相続税の対象者が拡がった点です。財務省の試算によると、改正前の4.2%から、6%程度に課税対象者の割合が増えると予想されています。(※平成22年12月7日税制調査会報告資料より抜粋)
首都圏・関西圏では、新たに対象となる方が増え、大都市では4人に1人は課税対象となるのではないか、と見立てている研究機関もあります。
また、控除額も減ります。法定相続人が3人の場合、これまでは基礎控除額は8,000万円でしたが、2015年1月1日からは基礎控除額は4,800万円となり、従来よりも3,200万円も低くなるのです。
こうした相続を考えると、様々な節税対策が考えられます。生前贈与や小規模宅地等の特例、あるいは配偶者控除の適応等が代表的なものですが、賃貸アパートや賃貸マンションを建てるという考え方は非常に有効です。賃貸住宅を建てると、その土地と建物は流動性が落ちるため、評価額が下がり、相続税を大きく軽減する事ができるのです。更地や駐車場等の場合は、転売が容易であるため評価額が高いのですが、賃貸物件を建て人に貸していると転売は難しくなるため、税金を算出するための評価額が低く算定されるのです。相続税対策としては、賃貸経営は大きなメリットのある打ち手といえます。

では、10年後20年後はどうか

相続税の対策としては有効な賃貸経営。しかし、賃貸経営そのものは、これから何十年も続きます。その賃貸経営が上手くいくかどうかは全く別な話です。
例えば、仮に「相続税対策にラーメン店の経営が有効」だったとします。あくまで「仮に」です。相続税そのものは、なんらかの節税トリックで、そのラーメン店を建てた事で軽減されたとしても、それ以降、そのラーメンが繁盛するかどうかは全く関係ないのです。そう考えればおわかりのように、相続税が軽減できるという事と、賃貸経営がその後も上手く行くかどうかというのは、別の話だという事が分かると思います。ところがどこかで、「相続税が上がって自分にもかかるようだ」「その対策は賃貸経営がよい」「自分が亡くなった時に、高額な相続税で子供や孫に迷惑をかけたくない」「よし賃貸経営だ」と、三段論法で進んでしまっていないでしょうか?

「30年一括保証」は何の保証か?

ここまで書いても、「いや、税理士も銀行も賃貸経営を薦めている」といわれるかもしれません。ただし、税理士も銀行の不動産のプロではありません。亡くなった瞬間の相続税の計算はできると思いますが、10年後20年後30年後も賃貸経営を続けるのですから、その時の家賃収入には責任は持ってくれないのです。
「建築会社さんからもよい話をいただいた。30年で一括保証してくれるんだよ」こういうお話もお聞きします。ご高齢で、自分の死後の相続を心配されている資産家の方は、この建築会社さんの「家賃保証」「一括保証」「借り上げ」「サブリース」という言葉についても、十分な勉強がされていないケースもあります。
「家賃保証」というのは、「一括借り上げをして、たとえ空室があっても、家賃の85%は保証しますよ」という契約です。例えば、「満室時の家賃の85%なら、建設時のローン返済を引いても十分な利益が出る」と聞けば、「なんのリスクもない」と感じるかもしれません。しかし、この計算は「今の家賃のままならば」という前提があります。
今日の家賃保証は、家賃見直しの条項があり、更新時には家賃の設定を見直すということが明記されています。全くリスクのない経営等はないのです。
おじいちゃんは「なんのリスクもない。税理士さんも銀行も建設会社も、とてもいい話を持ってきてくれた」と賃貸経営を始めたかもしれません。おじいちゃんが亡くなった時には、確かに大きな相続税の節税効果がありました。しかし、亡くなって何10年と経過したときに、建設費のローンや、修繕費等が発生するのに対して、家賃収入が下回ってしまうということもあり得るのです。

とはいっても成功している人は沢山います

「相続税対策には有効だ」「でも賃貸経営で失敗するかもしれない」。これだけ聞くと「だから辞めておけ」という話に聞こえるかも知れません。しかし、そうではありません。
「なんのリスクもない」という気持ちではなく、「リスクがあるけれども、きちんと経営すれば上手く行く」というものでもあります。全国では沢山の大家さんが賃貸経営に成功し、土地活用・資産活用で安定収入を得ています。
次号では、「相続対策というきっかけで賃貸経営を考えた」「けれども、賃貸経営にはリスクがあると知った」「そのリスクも知った上で、どう成功を収めて行くべきか」という観点で論じたいと思います。