関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.68

2017.08.17

「空室対策」の提案力から
不動産会社を選ぶ時代へ

これまで、様々な空室対策についてこのコーナーで述べて来ました。
実際に、オーナー相談会などでひとつひとつの物件について、大家さんの悩みを聞きながら改善策を一緒に考える事もあります。
しかし、所詮1時間程度の相談では限界もあります。私よりも呼べばすぐ来る不動産会社が頼りになるかどうか。今回は、空室対策のできる不動産会社の選び方を書きます。

写真はイメージです

家賃を下げずに満室にするには?

 人口減少が続き、新築が建ち続ける今日、空室対策は賃貸経営における重要なポイントとなります。
 さて、そんなとき、頼りになるアドバイザーたる不動産会社があなたにはいるでしょうか?
 仲介だけをしている会社は「家賃を下げ」て「AD料を付ければ」決まりますというような事を平気で言います。例えば家賃を1000円にしてAD料を100万円にすれば、満室にはなりますが、賃貸経営は破綻します。
 そこで「では家賃を下げずに満室にするにはどうしたらいい?」と聞いてみてください。

リフォームはなんのために?

 「家賃を下げずに満室にするにはどうしたらいい?」とあなたが言った時、彼はどんな方法を提案できるでしょうか?
 「ご予算は?」と聞くかもしれません。しかし、そもそも満室にする為の投資です。無料で出来ればそれにこしたことはありませんが、高いリフォーム代がかかるとするならば、家賃収入でペイできなければなりません。
 「100万円のリフォーム代をかけて、1万円家賃上昇なら、投資回収には100カ月かかる」となります。となるともうほぼリフォームは出来ない話しになります。でも「なにもしなければずっと空室」という重症な部屋であれば、「100万円のリフォーム代をかけて、5万円の家賃の空室物件が決まるなら、投資回収には20カ月かかる」ともいえます。こう考えれば「2年以内で回収出来る」とも思えます。
 が、それもこれも「それでホントに決まるのか」です。「100万円かけて決まらない」のではどうにもなりません。

「君や君の会社の経験ではどう?」
と聞き返す

 家賃を下げて入れた事しかない不動産会社に、「どうしたら家賃を下げずに満室に出来るか」を尋ねたところでよい解答は出ないかもしれません。
 そうなのです。つまり地元での経験が重要です。「君はこういう物件を満室にしたことがあるか?」「君の同僚は?」「君以外の仲間の会社では?」と具体的なエピソードを聞いてみる事です。
 こうした事例をもっているかどうかは、とても大事です。一度もがんの手術をしたことのない医者に手術を頼むのは不安なように、どのくらい成功しているかを聞くわけです。
 この時、逆にかかったコストをこちらから聞くのです。「ふーん、そうやって満室にした物件があるんだね。それはいくらかかったの?」「で、うちの物件で同じようなことをするといくらかかるの?」こちらの予算より、不動産会社の成功事例のほうが確かでしょう。これが答えられないようなら、その会社との付き合いは遠慮したほうがいいかもしれません。
 「なになにランキングで1位」とか「最近はDIYが流行っている」とかいった話よりも「どこそこでこんな物件が、畳を白いフローリングにしたら満室になった」という話の方が、リアリティが湧くのです。満室の「事例」を聞いて、納得いくまで考えましょう。

物件の状況はひとつひとつ違う

 事例を聞いて対策をする場合、気を付けて頂きたいのは、「ひとつひとつの物件は、立地も建物も歴史も全部違う」という事です。
 「隣の街でネット無料にしたら決まった」といっても「こちらの街でもそうだろうか。学生が多いからかもしれない」と冷静に聞きましょう。「防音にしたらミュージシャンが入居した」けど、自分の物件のエリアにはミュージシャンはいないかもしれません。
 物件の状況を冷静に考えながら、「空室対策の考え方」を参考にすべきです。「学生にネット」「ミュージシャンに防音」なら、「自分の物件は工事現場の労働者が多いから、バイク置場に屋根」かもしれません。各々の物件の立地や状況は異なり、各々の対策は異なり、各々の工事費は異なりますが、「ターゲットが喜ぶものに投資をする」という視点は同じです。
 DIYが流行っているからといっても、どこのエリアでも成功するとは限らないかもしれません。しかし、DIYでどこをどう直したのでしょう。そのエッセンスはヒントになるはずです。

地域を超えた対策も参考に

 全国各地でいろいろな大家さんが様々な取り組みをしています。賃貸フェアなどで彼らの工夫も聞いてみましょう。自らDIYをする大家さんもいれば、民泊に取り組む大家さんもいます。こうした「DIY」「民泊」という手法を参考にするだけでなく、自ら挑戦してはじめにやってみた、という姿勢を参考にすべきかもしれません。
 地域性が違い、DIYがなかなか浸透しない街もありえますし、民泊の旅行者が少ない街もありえます。だとすれば「手法」だけでなく、その姿勢です。
 「バストイレ一緒の物件に外国人を入れて満室にした大家さんの話を聞く」⇒「でも自分のエリアは外国人がいない」⇒「でも高齢者はいる」⇒バストイレ一緒ででも手すりを付けて、「トイレにいってすぐ風呂にも入れる」「段差もない」「転ばない」ので「高齢者に向いています」としたらどうだろうか、などと考えてみるのです。

大切なのは工夫する努力

 賃貸経営や、今、人口が減り、物件が増え、空室対策が収益を増やすかどうかの分かれ目となっています。これは言いかえれば「それだけやりがいがあり、工夫によって伸ばせる余地がある」ということです。
 空室に花を置き、スリッパを用意し、換気をして見学する人を迎え入れる。時々、下水の水が蒸発して臭気を帯びていないか確認する。お部屋のお薦めポイントを書いたメモを置く。こうした工夫はエリアを選びません。そして努力をしている人としていない人の差が激しいのも賃貸経営です。
 空室が増えつつある、けれども圧倒的に埋まっている部屋の方が多いのです。嘆くよりも工夫を重ねて、是非とも物件を磨いて満室にしていきましょう。