TOP満室経営のツボvol.63

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.63

2017.06.05

先手を打つ。
入居募集で勝つ為の先回りの発想。

オンシーズンを振返ると、こんな話をお聞きします。
「順調に空室は埋まったけど、急に3月末に(あるいは4月に入ってから)退去が出てね。その部屋だけ、今、空いているんですよ」
今回は、募集で先手を打つ為の施策について論じます。

写真はイメージです

「3月末に空きが出て」

「今年は3部屋空きが出たのですが、順調に空室は埋まりました。急遽3月末退去した部屋だけ、今、空いていて他は満室です。すごいでしょ」
 こんな話を聞くと、当初の空きが出た部屋に対する努力について話が弾み、私もとても参考になるものです。自慢そうに話す収益物件オーナー。
 しかし、その「急遽3月末退去した部屋」が決まりません。もし、その賃料が入っていればぐっと利回りはよくなったはずなのに。急な転勤、急な結婚。理由は様々ですが賃貸経営は偶発的な入退去により収益は変動するものです。でも、なんとかならなかったのでしょうか?

決まらない理由より
そうならない施策を

 「急な退去だから」とご自身を説得してしまうと、そこで思考停止してしまいます。そうならないようにすれば、純粋に利益は増えるのです。「急なんだから私のせいではない」「タイミングを逃したので仲介会社としても苦戦する」「なのでフリーレント付けてください・・・」といった話になりがちです。
 では「それを防ぐために」と施策を考えてみましょう。

学生ならば、ある程度「読める」

 対策が分かりやすいのは学生です。大学生ならば4年前に入居した新入生は、4年後に卒業する可能性は高いものです。「そろそろ、ご卒業の時期ですが、退去のご予定はいかがですか?」と事前に打診はしたでしょうか?
 たとえば、今年であればこんなことを行なった会社があります。
 「3月17日までの退去予定を12月中に連絡してくれれば、3月分の家賃を無料にします」という連絡です。
 「そろそろ、ご卒業の時期ですが、退去のご予定はいかがですか?」とだけハガキに書いても、連絡をしないのも今の学生。ましてその連絡が1月を超えると、学生本人も既に卒業旅行や内定者研修で不在かもしれません。
 12月中に退去日がわかっていれば、「4月入居可物件」として、オンシーズンの1~3月に募集開始が出来ます。3月17日までに退去していれば、3/18~20までの3連休で、内覧案内も可能です。3月1カ月分の家賃の減額で次の入居者を確保出来る。4月以降に入居者を探してAD料やフリーレントをつけるぐらいなら、よっぽど効果的なのです。

3月末に原状回復工事を固めない

 新規入居者は、「綺麗な部屋」をみたいはずです。ところが、前入居者がぎりぎりまで住んでいると内覧が不可能となります。加えて、原状回復工事はてんてこ舞い。ボロボロの部屋を見せても決まりが悪いですし、新入居者の引っ越しまでに原状回復工事が終わらなければ、それだけ日割りで賃料収入が減ります。
 工事が集中する3月末退去を、どう分散化するかと考え、複数の部屋が空くのであれば、最初に空いた部屋をモデルルームのようにして内覧促進をして行くと良いでしょう。
 たとえば、これから4部屋空くとわかっていて、1部屋長期空室があった。となれば、その1部屋をモデルルームとして、5部屋の募集をする。狭い単身のワンルームで見栄えが冴えない物件でも、2段ベッドなどを置く事で生活イメージがわき決まりやすくなります。先々、4部屋空くとわかっていれば、継続的に内覧案内が可能となるのです。

転勤も先手を打つ

 転勤の場合も先手を打つ事が可能です。「急に3月に出る事が決まった」という彼の「後任」を狙うのです。この方から退去の連絡が入った際に「2か月前告知と書いてありますので、5月分まで家賃ください」ともめながら踏んばるよりも、「ご後任の方をご紹介して頂けませんか?」と次の入居獲得を目指してはいかがでしょう。
 それでも「急遽」はありえるのですが、その損失をどうにか減らせないかと考えるべきなのです。
 いつも、2月●日に退去連絡が来るので、そのころに人事発表があるのではないか。そう考えると、当該時期に退去予定の確認をするなどの対策が可能です。

「仲介」「管理」「大家」の
分業化による損失

 かつては、大家さんが仲介も管理もしていました。例えば、102号室の学生さんを入居させ、毎月の家賃を頂いていたわけですから、12月ぐらいに、「今年は卒業かい?」「いえ、もう一年、お世話になります」などと気軽に会話が出来ました。
 ところが今は、分業化が進んでいます。入居は仲介会社。クレーム処理などは管理会社。家賃は保証会社。大家さんは煩わしい仕事から解放されましたが、「急遽3月に退去が出てしまったので、今、○部屋空いている」などとなっているのです。顧客接点が希薄だから「急遽」となってしまったケースは防げたはずなのです。

「仲介」「管理」「大家」の
チームワークを

 不動産会社内でも分業化も進んでおり、管理物件の退去予定を受けるコールセンターの人と、修繕の担当、仲介店舗の担当が全く会話をしていないなどというケースもありえます。
 だからこそ、この「チームワーク」が今、大切なのです。
 収益物件のオーナーとしては、接点のある不動産会社を訪問する際は、この流れを確認する必要があります。
 誰がいつ「退去の予定はありますか」と確認の電話やメールやハガキを出すのか。そして、「原状回復の工事の手配」と「募集のための写真撮影」はどうなっているのか。「募集広告の開始はいつなのか」。他社に仲介を依頼しているなら、そのための段取りはどうなっているのか。
 自分の物件に関わる仕事を誰がどのようにしていて、そのタイムラグをいかにして短くするのか、という観点で業務の見直しをお願いするのです。
 6月の今、まだ記憶がはっきりしているうちにこの対策をしっかりと行ない、次の9月の転勤シーズンで一度演習。そして年末年始の実践で次回こそ満室稼働にする。このハンドリングを行なって行く事で、「突然空室」を少しでも減らして行きましょう。