TOP満室経営のツボvol.6

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.6

2015.01.20

カラスの勝手でしょ。
クレームから見付ける物件のマイナス

前号に引き続き、ダブルバインドとなりがちな、管理会社の仕事について論じます。今回は具体的なエピソードから、分かりやすく解説します。

写真はイメージです

自転車置き場がカラスのフンだらけ

「自転車置き場がカラスのフンだらけで困るんだよ」こんなクレームがとある管理会社の担当営業マンに入りました。「まったく最近は、クレーマーが多いなぁ。カラスのフンなんてカラスの勝手でしょ」これが管理会社の担当者の最初の本音でした。カラスが糞をする度に管理会社に注文をつけられたら、溜まったものではないのも事実です。
「それは大変ですね。巡回時に確認させて頂いて、ひどいようでしたら、清掃会社に掃除をさせますね」と言って、電話を切った担当者。「いやーひどいクレーム電話があってさ。そんなのカラスの勝手だよね」と話していると、ベテラン管理マンからたしなめられました。

本当に「カラスの勝手」なのか

「現場は見に行ったのか?」ベテラン管理マンは言います。もちろん、行っていません。百聞は一見にしかず。実際に行ってみると・・・駐輪場はカラスのフンだらけ。清潔感もなく、臭いもします。仕方なく、クレームを受けた管理担当者は掃除をして帰ってきました。
「でも、先輩、カラスは入居者でも大家さんでもありません。糞をするからって、僕らにそれをなんとかする義務はないと思うんです」と彼は先輩に尋ねました。

退去率の防止

「あの物件は、入居率が悪く、仲介が頑張っても、なかなか決まらない。なぜだと思う。退去が多いんだよ。そんな駐輪場がカラスのフンだらけだったら、お前だって長く住むのは嫌だろう」先輩の言葉は、カラスの勝手と言っていた後輩には気付かない視点があるものでした。単なるクレーマーだと思っていた入居者からの声は、長く住むには大きなマイナスがこの物件にはあるというカスタマーの生の声だったというわけです。
「でも、先輩、カラスが糞をする度に僕らがまた掃除をするんですか?やっぱりカラスの勝手なんじゃないですか?」と彼は先輩に尋ねました。

クレームを起こす前に予防・対策する

「だったら、駐輪場にカラスが来ないようにする工夫を考えよう」先輩の視界はさらに広がります。「カラス 予防」でネット検索すると山ほどグッズが出てきます。「カラスよけ」のグッズは世の中には沢山あるのです。さっそく大家さんに事情を話し、駐輪場の屋根にはカラスが止まれないよう、カラスよけのグッズを設置する事としました。カラスがよってこなくなった駐輪場は、以前よりも利便性が高くなり、入居者の満足度も上がっては来ました。そもそもカラスが多かったのは、ゴミ置き場にも問題があったため、ゴミ庫のドアを見直し、カラスが寄り付かない環境にすることができました。すると懸案だった退去率も低減し、入居率もしだいにあがってきました。
管理担当者が、大家さんだけの立場で、入居者クレームを「困ったもの」とだけの視点で取り扱っていたとしたら、こうした改善は行なわれなかった事でしょう。管理の仕事はこのように、偏った思い込みを捨て、バランスよく事態を冷静に見立てる力が必要なのです。