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TOP満室経営のツボAirbnbvol.57

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ヒント集

vol.57

2017.03.06

民泊新法180日規制。
インバウンド市場での本当の闘いが始まる。

民泊新法がいよいよ形が見えてきました。
ネット上には、法案の原案の文面などもいくつか掲載されています。
民泊はどうなるのかについて、今回は論じます。

写真はイメージです

「グレー」から「クロ」になった
民泊

 「家賃5万円の賃貸物件が、一泊5000円で20泊稼働して、10万円入る。これはやらないほうが損だよ」
 こんな話を数年前に聞いた民泊。当時はいわゆるグレーゾーンで、法規制や解釈も様々で、私も、このコーナーでそのリスクとチャンスについて両論を掲示させて頂きました。
https://www.shizen-net.co.jp/column_tsubo/vol-20
 その後、民宿や山小屋のような簡易宿泊所の規定、あるいは自分が住んでいる家に宿泊させるホームステイと、業界が期待している民泊の違いがより明確に議論され、「賃貸の空室に宿泊させる」という民泊は、特区以外は違法で「クロ」と決まりました。その上で、新しい法律議論がされていました。

新法では規制強化?

 新しい法律名称は、「住宅宿泊事業法」という名前になるとの事。名前からも、「宿泊事業」として定義・立法している。民のやる泊の民泊じゃないよね、という意図が見える法律名だと思います。
 つまり、ヨーロッパなどの例えばホームステイのような「ホストが部屋を貸す民泊=文字通り、民が自宅に宿泊させる話ではなく、家主不在型(に限っては?)、事業者が収益事業として住宅を宿泊させるという概念で規定していると思います。
 まあ、このコーナーも「収益物件オーナーのためのコーナー」ですから、「はい。私の部屋に泊めるわけではなく、宿泊施設として賃貸の空室を運用したい」というケースの法規制という事になります。
 いろいろ「やれ規制なんて息苦しい」などという意見もありますが、まあ確かに「事業として行なうので、一定のルールがある」事は世界でも普通の事だとは思います。

「エアビー」と「賃貸空室民泊」の
矛盾

 「エアビーでは、ホストを評価して レイティングしているので、悪いホストは自浄されるのです」と、エアビーの日本法人の方にお会いした時に語られていました。
 そこで、私は、「日本では、賃貸の空室を民泊にしたいのですが、その時は、自浄効果として評価されるホストは、大家さんですか?それとも不動産会社ですか?それとも民泊代行会社ですか?」とお聞きすると、
「うーん、それは、日本の方々がそうしたいだけで、エアビーとしては、そもそも、そういう想定ではないんです。まあ、そういう国もありますが、
その時は、大家さんだったり、業者だったり、不動産会社だったりと海外でもいろいろなのです。ホストとして登録した人がホストとなります」
 民ではない、事業者の「泊」ばかりの賃貸空室の宿泊転用という日本の事情が、こういう法案の名前にもつながっているようです。そもそも海外の旅行者が「賃貸の空室に泊まりたい」と言ったわけではなく、「賃貸の空室に泊まらせたい」という貸し手の事情ですし。
 となると「大家さん」「管理会社さん」「代行業者さん」がくるくるとホスト名を変えて、「同じ物件を貸し続ける」という世界では、正しくホスト評価が自浄効果に繋がらない可能性がありました。

事業者を定義し登録制とする

 中身は今後審議されるそうですが、現在原案では、「民泊の管理」「民泊の仲介」「民泊の事業主」という分類がされて、届出・登録制となります。ここは日本の事情を鑑みた対応の様で、エアビーでも対応が進む様です。
 「宅建業者に限る」などの規定はなく、「既得権益のある不動産業界のいいなりになっている」という論調は言い過ぎでしょう。別に宅建業者でなくとも民泊は出来る、けど登録してね、ということです。なにか問題が起これば、登録業者ではなくす事で、排除できるようにして、アンダーグランドにしないという正しい発想が反映されているとも思います。
 エアビーもこの法案に対応した開発を加える模様です。

180日制限でどうなるのか

 議論になっていた、180日制限が「規制強化」であり「観光事業者に気を使ったイケテない法案だ」という声も聞きます。ただし、これは、割と海外でも日数制限があります。
 「国際モーターショーがあるけどホテルが足りないから、民間人の家に泊めてあげようよ」というような話の時に、「では365日宿泊させます」と言うなら、「ならホテル業のルール守れよ」は、既得権を持つホテル業界の圧力と罵るよりも、まあ、確かにまっとうだなあとも思います。

主義主張や冷やかな評論よりも
よい民泊サービスへの努力を

 「規制派vsアンチ規制派」「観光業界vs賃貸業界」「性善説vs性悪説」「改革推進vs保守コンサバ」と立場は、いろいろあり、ムキになって「お前はどっち派だ」などと喧嘩しても仕方ないのではないでしょうか。
 私は、「家主がいる、ホームステイなどは、アンチ規制・性善説・改革推進」が良いと思いますが「家主不在型は、事業なんだから、事業としてのある種のルールは設けておくべき」と思います。性悪説でのリスク回避は、事業であれば当然とも言えます。
 そもそも、規制やリスクは、事業である以上ゲームの制限と考え、頑張って乗り越えるべきなのではないでしょうか。本来は、もっと民間から「こういうサービスにすれば、日本らしいよいサービスになる」と国に提言すべきだったのではないかと思います。既得権益の議論より、宿泊者のための提案が欠けていたように思います。

合法となり、競争が激しくなる

 これまでは、「グレーゾーン」⇒「クロ」の時代でしたから、参入しているプレイヤーも少なかったと思います。多少高くても「仕方ないなあ。ほかに泊まれる所もないし」と宿泊されたと思います。
 しかし、法案が固まれば、「シロ」が確定し、参入するプレイヤーは増えます。また、昨今建設されている格安ホテルとの単価競争はさらに激しくなり、宿泊相場は下がるでしょう。
 こうなると、自宅で運営するホームステイ型は限りなく安くなり、業者に発注する家主不在型は、経費との兼ね合いで損益分岐が高く不利になるかもしれません。
 また、180日制限により年間の利回りは悪化し、避難誘導灯など投資も必要で、あまり儲からないビジネスとなるかもしれません。ウーバー等のビジネスも同様に単価が下がって世界的に厳しくなっていく傾向はあります。

大切なのは、単価勝負ではなく
よい民泊サービスの開発

 私は、ビジネスとして考えれば、そのサービス内容の評価は、宿泊されるお客様側の意見や希望が大事だと思います。宿泊台帳が必要かどうかは、行政が決める事なのかもしれませんが、安全安心に泊まりたい、日本文化を少しは感じたい、いや私は多少危険でも安ければいい、といった宿泊者の声を反映してサービス開発すべきだと思います。
 これまでの議論が、業界vs業界や、推進派vs規制派だったかもしれませんが、いずれも貸す側の論理です。
 貸す側中心だと、お客様から離れてしまうのです。有識者の会議に、宿泊者サイドがいないわけですから、サービスをどう磨くかは、実はこれからなのです。
 「多少危険でも安ければいい」という方もいるかもしれませんが、基本的には同じ宿泊費であれば、お客様は、安全に眠りたいでしょうし、楽しく過ごしたいはずです。よい思い出を作りたいのではないでしょうか。
 自分や家族が海外旅行に行って宿泊すると考えると、「泊まってみたけど、怖かった」では、宿泊する側が次第に離れて行くのではないでしょうか。
 日本に来たお客様が、「あー、楽しかったなー」と感じてもらえるような、よいサービスに磨いて行くべきだと
思います。ビジネスの努力の中で。

漫画喫茶のほうがまし?

 漫画喫茶にはすでにシャワールームがあり、個室があり、カギもかけられます。基本的にネットがつながっていて、パソコンやテレビやビデオがあり、毛布もあります。足を伸ばして寝られる個室は、結構快適です。
 3000円で泊まれるような所もあります。
 となれば、漫画喫茶のような世界を求める顧客はそちらでよいのです。海外には日本ほどこうした空間はないかもしれません。競合環境も違うのです。そういうのでは、ないものを求める顧客が、求めるよいサービスを、事業者が磨いて行くべきです。それはターゲットとするお客様のために、だと思います。

IOTの活用を

 こうして考えると、「賃貸空室の民泊」は「家主不在型」を前提とし、
■格安ホテルより安い宿泊料
■「家主滞在型」で可能なホストとの触れ合いがない分は、宿泊者同士のコミュニティや、家事などを楽しませ、
■より安い漫画喫茶である程度確保できている安全性を上回るセキュリティが必要です。
 簡単にコピーできそうな鍵を手渡しするような運用だと、カウンターがあり、衆人がいてある程度性犯罪等のリスクが少ない漫画喫茶よりサービスが劣位となってしまうのです。
 となると、ローコストな運営でセキュリティや泊まり心地を確保するには、スマートキーやITカメラなど
日本らしく、技術でクリアすべきでしょう。
 法案が通ったら、現場で運用して、よいビジネスの成功事例を貯め、経験を積んだ上で修正を加え、サービスを磨いていくと良いかと思います。