関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.55

2017.02.06

画一的な物件よりちょっと個性的。
小さな長所を伸ばす方法。

Vol.53で「長所を伸ばす」という満室ノウハウを論じました。
今回は、「さほど長所はないのだけれど・・・」というオーナーの皆さんに
見逃している小さな長所から、ちょっと個性的にする戦略を解説します。

写真はイメージです

川沿いだからリバーサイド?
近隣との関係で長所は?

 「どこの物件も似たような物件ばかり。自分の物件も特に違いもなく、やはり家賃を下げるしか闘う方法はないか」
 こんな声を大家さんからお聞きします。
 あるいは「バストイレも別にした。温水洗浄便座もいれた。エアコンもつけた。それでも埋まらない。もう手放そうか」
 周囲も「バストイレ別・温水洗浄便座・エアコン付き」ばかり。となると差別化はなかなか出来ず、「当たり前レベルになっただけ」とも言えるかもしれません。
 競争の激しい賃貸業界では、「近隣の似たような物件よりも、○○がいいですよね」と一言、仲介時に後押しできる物件でないと、なかなか決め手にならないものです。
 「川沿いだから、このアパートは『リバーサイドうえの』という物件名なんですよ」「え?それが。このあたりの物件は、皆、川沿いですよね。家賃下がりませんか」これでは、競争に勝てません。

物件のいいところを
見つけに行きましょう。

 なかなか埋まらない空室物件の場合、収益物件オーナーもあまり愛着がなく、足が遠のいている事があるかもしれません。「かわいい我が子」ともいえる物件が、入居者になかなかモテない。もう一度、自分の目で見てみましょう。
 たしかに古くはなってきましたが、欠点ばかり見ずに、「こんなところは、かわいいと思うんだよな」と少しでも愛せるところを探してみましょう。

エントランスから部屋へ
なにか工夫は出来ないか

 まず、物件に向かうときには、入居者と同じ交通機関を使ってみましょう。「近所だから大家の家から歩く」とか「遠方だから大家の家から自家用車で行く」のではなく、「バス便だから駅からバスで行ってみる」「駅から距離があるから、駅まで行ってから自転車で自分の物件に行ってみる」のです。
 すると、「うちの物件は自転車が置きにくいじゃないか」といった欠点や「でも、屋根があるから濡れないな」とか、「倉庫が死角になって、バスが近づいているか見えにくいな」といった欠点や「朝は、2分に一本バスが出ていて、結構座れるじゃないか」と気が付きます。
 そして、エントランス。外廊下が錆びて来たなと気がつきつつ、「外廊下から2階の階段は、雨よけにもなるな」「ここはイルミネーションとかクリスマスに許可したらどうかな」「103号室の部屋の前の植木の花がきれいだな」などと気がつくかもしれません。
 こうした長所を活かして、「夜のイルミネーションが自由に飾れるかわいい物件」になるかもしれませんし、「綺麗な花が毎日出迎えてくれる、自然にいやされる物件」に出来るかもしれません。
 老朽化した郵便ポストをちょっとポップなものにすると、若い入居者には嬉しくなる物件と変身できるかもしれません。

玄関からリビングへ。
狭さをメリットに変える

 さて玄関。「決して広くはないな」と感じながら「さて、広くは無いけど、この辺に鍵やカード入れとかひょいと置けるな」と使い勝手の良さに気がつくかもしれません。すると「よし、玄関にカギ置き場を設置しておこう」と気がつくかもしれません。
 リビングに入ったら、振返ってみる。「おっ、玄関からは丸見えにならないな」「ありゃ、こっちの部屋は、宅配便が来たら、部屋の中が丸見えか」と気がつく事もあるはずです。
 であればちょっとカーテンレールをつけてあげるだけで、プライバシーに配慮できる物件となります。

女性目線で、水周りを

 実際にトイレに座ってみたり、バスタブにつかってみましょう(もちろん水なしでいいですが)。トイレに座ってみると、スマホが鳴った。スマホはどこに置くのでしょう。なんだ、ここに棚を作ってあげたらいいじゃないか。オーナーであれば、壁にくぎを打つのは簡単ですが、入居者には出来ない事です。
 さて、こうしたタイミングでは、女性の気持ちになってみましょう。女心は男性にはわからないもの。トイレには生理用品が必需品。でも来客者に見られたくはないものです。とすれば、ちょっと棚とカーテンレールがあるだけで嬉しいというわけです。
 お風呂はどこで脱衣するのか。外から覗かれる心配は? 化粧はどこでするのかな。女性の気持ちになってみてみると、物件の長所や工夫の余地に気がつくかもしれません。

「窓の外」「壁の長押」「押し入れの位置」
物件を愛して、長所を活かしてみる

 そんなに魅力がない物件でしようか。皆さんの物件の「いいところ」を探しましょう。たしかに歳はとってしまったものの、ちょっと愛しい部分はないでしょうか。
 「古くて狭いけど、窓の外から見える緑がとってもステキなんだよな」こんな事に気がつけば、最高です。さて、そのままではそれは入居希望者には伝わりません。仲介担当者にも響かない。そこから知恵を絞るのです。
 例えば、とある物件では、思い切って、ここにハンモックを置いてみた。部屋の中にです。だって緑を眺めるとステキだから。ハンモックは5万円ちょっと。ところがハンモックで寝転がって外を眺める写真を載せたら、あっという間に満室に・・・。
 この瞬間が楽しいのですが、そう簡単ではありません。ですが、こうした「ちょっと個性的」な物件が、今、決まっています。
 別の物件では、築年が古くかなりレトロな雰囲気。だっら、このままレトロ路線で、家具も壁紙もアンティークにしてみよう。とたんに周囲にない個性的な物件になります。
 和室の壁には、長押(なげしと読みます)という棒がある。「あっ、ここに服がかけられる」と思ったら、ちょいと上着をかけてみる。だったら、押し入れもとっぱらってクローゼットにして「見せる収納」にしてしまおう。
 ロフト付きだけどあまり収納ないな、けどロフトも収納なるし、取りつけ階段の下もデッドスペースだ。よしここに小さな物入れを置いて、ロフトを趣味の隠し倉庫にも出来るようにしてあげよう。

テクニックは「シーン」で考える

 これまでこのコラムでも述べてきましたが、コツは「写真」で表現出来る個性です。川辺の夕焼けが綺麗なら、その写真をネットにのせる。ハンモックでもアンティークコーディネイトでも、ロフトの倉庫でも写真。長押の洋服掛けも、押し入れ改造のクローゼットも、実際に服をかけて写真をとってみましょう。ほら、生活シーンが見えてワクワクしてきますね。
 物件を愛して、「こんな生活してみませんか」と、ちよっと個性的にアピールしてみましよう。