TOP満室経営のツボvol.52

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.52

2016.12.21

賃貸不動産会社が変わっている。
その変化を見逃すな。

街で見かける不動産会社。
特に賃貸のお店が変わってきている事に気が付きませんか?
変化はチャンスです。収益物件の不動産オーナーとして、
今もなにが起こりつつあるのかをしっかりと見極めましょう。

写真はイメージです

仲介会社の「管理会社」化

 皆さんの、賃貸の不動産会社のイメージはどんなイメージですか?
 赤とか黄とか青とか緑の原色の看板。沢山の物件の案内が貼られた、下品な店舗。茶髪で軽い感じの営業マン。なにか安っぽいイメージをお持ちではないでしょうか?
 実際、賃貸の仲介業はひとつの仕事をした場合の報酬も少なく、業界の中でも注文・分譲・売買仲介と比べると低く見られがちでした。モラルも低く、オトリ広告なども多く、コンプライアンス意識が低かったように思います。
 しかし、そうした会社が淘汰されています。なぜでしょう?

空室増加。家賃の下落。
仲介専業が
マーケットアウトしている

 都市圏を中心に、賃貸仲介専業の会社の倒産が続いています。CMを流していたような大手の賃貸専門の仲介会社がなぜ倒産してしまうのか。
 実は、人口減少で仲介件数が減り、家賃の下落で仲介手数料単価も減っています。売上=仲介手数料単価×仲介件数、ですからまず彼らの売上が下がってきています。
 ところが、彼らは「家賃交渉します」「仲介手数料を値引きします」と益々単価を下げる方向で、他社と闘うようになります。今やネットで物件情報はオープン。どこの会社にも空室情報はあふれているので、「家賃を下げ」「手数料を下げる」という悪循環のプロセスに入ります。
 このままでは売上が落ちますので、大家さんからAD料をもらう事で補てんしようとします。するとなにが起こるでしょう。魅力的な物件がこうした賃貸仲介店舗から消えて行く現象が起こっているのです。
 オーナーの立場からすれば、新築や駅近などの魅力的な物件は、別段AD料を沢山払ったり、賃料交渉などされなくても決まります。むしろそうしたことを要求する仲介専業の会社には魅力的な物件は預けたくない。築古の困った物件ばかりをなんとかしてくれと託すようになります。
 実際、私の友人が有名な賃貸仲介の専業店で部屋を探しました。案内されたのはオンボロ物件ばかり。「あのエリアには新築はないんですね」と私に確認の連絡が入ったので、「いやいや、あのエリアには新築は沢山あるよ。あの会社にないだけなんだよ」と教えるという始末。これでは仲介専業なのに仲介力がどんどん落ちて行きます。

仲介会社が管理会社に

 先日、関西で最も有名な仲介会社の経営者の方とお話をしました。リーマンショック以降仲介事業での売上ダウンで苦戦したその会社は、その後、管理物件獲得にシフトして見事にV字回復していました。そう、もはや「賃貸仲介だけ」では食べていけないのです。
 仲介会社が管理のノウハウを身につけるのは生半可な事ではありません。やった事がないのですから。しかし、彼らが新築や駅近などの反響を獲得しやすい物件の管理を獲得する事は、仲介する上でも強みになります。
 こうした「仲介の管理化」は、あちこちで私が見聞きする現象です。

ハウスメーカーが仲介を

 逆に、ハウスメーカーが仲介や管理を強化する動きもあります。
 これまでは新築賃貸を建てるのが専門で、管理や仲介にはあまり興味がなかったハウスメーカーが賃貸仲介を強化する動きもあります。これは実は仲介専業には脅威です。なぜなら、ハウスメーカーは毎年新築を建てるので、常に魅力的な新築を持っている事になり、一方で仲介専業はますます築古課題物件だらけと二極化しやすくなります。
 いうならば、ハウスメーカーの仲介部門が新車の展示場。仲介専業が場末の中古車センターのようになっていく。この流れで、「家賃を下げて生活保護者を入れましょう」という提案ばかりして行くと、ますます仲介専業は厳しくなるのです。

管理会社が売買仲介に乗り出す

 さらに業界が変わりつつあるのは、管理会社の動きです。これまでハウスメーカーが建てて、仲介専業が客付けをするという役割分担をしていた。ところがこの垣根は壊れつつあります。そんな中、管理会社は仲介や建設という部署を強化するだけでなく、一棟ものの売買仲介を強化しています。なぜか。これも外部環境の変化が影響しているのです。
 人口減少と物件数の増加で、空室が増え賃料下落が始まる。すると「今、ここで売ろう」という大家さんが出てきます。となれば、その情報をいち早くつかむのは管理会社。相続支援やリフォームなどのノウハウを強化してきた管理会社が、今、強化しようとしているのは一棟物の収益物件の売買なのです。出口としての不動産経営に関わりを持つ事で、新しい管理物件獲得にもつながる。今や業態は大きく変わりつつあります。

仲介の管理化による
オーナーリスク

 収益物件のオーナーの皆さんから見ると、「ふむふむ、仲介専業はなかなか大変そうだね。でも、彼らが管理を始めたからって僕らには関係ないよ」という感想かもしれません。しかし、これはオーナーにとってはリスクを伴います。
 つまり、これまで入居者を斡旋してくれていた仲介専業プレイヤーが、自らの管理物件を優先して、なかなか紹介してくれなくなるというリスクです。実際に、大手仲介会社では「自社物優先で仲介するように」というお達しが出ており、「自社物目標が行かずに、他社物やオーナーの自主管理物件を決めると罰金」などという内部ルールがあるそうです。だからといってこうした仲介会社に管理を任せると、入居者クレームでの対応力不足やAD料重視・家賃値下げ交渉ばかりでうんざりしてしまう事もあり、安易な管理会社変更もリスキーです。情勢をよく見極めながら、不動産会社選びをしなければなりません。

大家業に、不動産会社が参入する

 また、管理会社や仲介会社が自ら大家になるケースも増えてきました。不動産会社の大家化です。物件を売りに出すと、自分で買うという不動産会社が出てきたのです。仲介会社は管理化し、管理会社は売買仲介強化、そしてハウスメーカーが仲介強化すると、「よい物件なら、いっそのこと自分で買おう」というわけです。
 これまで付き合いのある会社が大家さんになるという事は、「大家の気持ちを本当に理解する」という機会となり、歓迎すべき事ともいえます。しかし、頼りにしていた仲介会社が自ら大家さんになっていたとしたら、収益物件のオーナーとしては、ずばり競合になる、という事です。私達の物件が「引き物」「あて物」となり、仲介会社の自社所有物件や自社管理物件が「決め物」となってしまうと、我々は苦境に立たされます。

 業界は、今、大きな変化の過渡期にあります。物件の近隣の人口動静や金利だけでなく、不動産会社が今、どう変化しつつあるのかを冷静に見極めながら、ベストパートナーを選んでいく時代となってきているのです。