関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.50

2016.11.21

仲介不動産会社を選ぶ目利き力。
利回りの前に、人を選ぶ。

今、各地で物件の売り買いがされています。トランプショックで未来は不透明ではありますが、中古物件価格の高い今は売り時ですが、金利が安いから買い時という不思議な状況です。ここで大切なのは「誰から買うか」。今回は、買うなら売り手を選んで、というお話です。

写真はイメージです

今、お持ちの物件は、
どんな不動産会社が仲介しましたか?

 収益物件の売り買いをするオーナーの皆さんは、今手持ちの物件は誰を仲介として購入されたでしょうか?
 収益物件の売買に強い、信頼できる不動産会社を通じて買ったという方もいますが、自分で探した物件をたまたま収益物件サイトで広告していた会社というケースもあるでしょう。前者を「不動産会社を選んでから、物件を探すオーナー」とし、後者を「投資物件を探してから、その物件を仲介している会社と接するオーナー」とします。どちらがいいとか悪いではなく、双方のケースがあると思います。

信頼できる不動産会社を選び
彼の提案する物件を買う

 「不動産会社を選んでから、物件を探すオーナー」の場合は、投資の本を読んだりして、気に入った会社の経営者や営業マンと話をしながら物件を探します。証券マンと相談しながら投資の株を選んでいくようなやり方です。こちらはどんなに頑張っても売買の経験を増やして行く事はできませんから、知識や経験の不足を信頼できる人に委ねる事になります。
 となると、パートナーである不動産会社次第で、勝つも負けるも左右されます。よい物件を見つける力がない方と組むと商機を逸しますし、悪い物件を持ってくる方の話を真に受けて損をするのも自分という事になります。

物件を探してから、
不動産会社に会うというパターン

 一方で、収益物件のポータルサイトで自ら検索して、収益物件を選んでから購入に臨むという収益物件オーナーもいらっしゃいます。「投資物件を探してから、その物件を仲介している会社と接するオーナー」です。
 「世の中にはどういう賃貸物件があるのかな」「もっと利回りの良い物件はないかな」「区分所有でいいからひとつほしいな」と考えると、まず物件を探してみるのは普通の行為です。
 通常の賃貸物件の入居者や、自分が住む物件を探す人はこちらが主流です。私が調べたところでは、一般のお部屋探しでは、「まず物件を探す」人が2/3。「まず不動産会社を探す」人は1/4程度です。収益物件購入は通常のお部屋さがしよりもリスクが伴いますので、この方法は経験を積まない危ないと正直思います。

これって、儲かりそう。
本当に?

 既に株はネットで買えます。ご自身が郵貯の株を買おうと思ったら、別段、証券会社をどこにしようかと選ぶ事は大した問題ではないでしょう。どこで買っても郵貯の株は郵貯の株。上がるかどうかは、郵貯次第です。
 ところが不動産の場合は、収益物件が検索できるサイトでみても、さて「この表面利回りは、どこまで維持できるのか?」「この物件は相場より高いの、安いの?」というのは、なかなか分かりにくいものです。表面利回り10%のほうが、4%よりもよい、とは必ずしも言えないのが難しいところです。

そもそも定義が全く違う

 こうしたサイトを見ると、「入居率95%」「空室率7%」「現況満室」などと書かれています。実は、この入居率の定義すら「みんなバラバラ」なのです。
 例えば、とある不動産会社では、原状回復工事中の部屋は、「分母からも分子からも引いている」そうです。ということは、10戸中2部屋空いていても、その2部屋は今、現状工事中なので賃貸出来ないので分母分子から引かれている、などと言われると「入居率100%」となってしまいます。苦戦物件は「のんびり原状回復工事をすればいい」となってしまいます。ところが別の会社では「原状回復工事期間も空室として扱う。なにしろ大家は賃料収入ないのだから」という定義。だとするとこの会社では、逆に原状回復工事を徹底して早くすまし、速やかに募集・入居を行ないます。
 同じように、フリーレントを分母分子に入れるか、長期滞納はどうか等、そもそも定義がバラバラです。

将来の利回りは
わからない

 また、現状の利回りはわかっても将来の利回りは分かりません。
 とある地域では、新築時6.5万円で満室だった物件が、既に3.5万円でも入居率が50%という状況です。建築時より27%も賃料収入が悪化しています。退去者が多いため原状回復費用はかかり、AD料を多めに出してなんとか埋めるしかありません。エアコンも故障が増え、外壁も傷んでおり、外廊下は錆びだらけ。この状況で高めの賃料設定に戻してフリーレントでなんとか入居率を高めて売りに出されると「一見利回りの良い」物件に見えます。となると、検索して、さあこれにしよう、という行為では、さてこの不動産会社は信頼できるかを見極めねばなりません。

「良い人」はいないかもしれない。
「きちんと儲け続けたい人」はいる。

 とはいえ、人を見極めるのは難しいものです。著名な本の作者で投資用賃貸で成功しているからといって、すぐに真に受けるのは危険でしょう。ではどう見極めればよいのか。
 私は、いっそのこと、「良い人はいない」というぐらいに思ってもよいと感じています。
 感じの悪いと感じる人や一目見れば悪人が分かる、という方はその勘は信じてよいと思います。でも逆はどうでしょう? 「感じが良い人と思った」「一目見れば善人が分かる」という勘は、多少懐疑的に考えてはいかがでしょうか?
 しかし、「きちんと儲け続けたい」という人はいます。少なくともこちらは買い手としては「きちんと儲け続けたい」と考えています。相手の不動産会社はどうでしょう?
 今回の商談が成功すれば、あとは知らない、という態度が見えると危険性を感じます。売ったらそこで終わりであれば、多少、悪い物件でもよさそうに見せて日銭を稼ぐ。しかるに、長期的に収益物件の売買をどうしていくつもりかを見極めましょう。
 例えば、「今は都心は売りだが、地方は買い。相場が下がれば地方を売って、首都圏を買う」などの戦略性。これからの金利や地価動向からどう長期的に儲けて行くのか。そうしたビジョンを聞いてみましょう。また、地元の不動産会社であれば、売り買いした物件の空室動向から逃げる事は出来ません。地元で仕事がしにくくなります。社員を複数抱えていればなおさらです。そうしたリスクを背負っているのなら、危険な売り逃げはしないはずです。また自ら大家をやっていたり、管理をしている会社も、長期で空室対策に取り組んでいる証拠です。今回の商談で終わりではなく、自ら空室対策を行なって大家業や管理業をしているのであれば、ビジネススキームとして、「知らんぷり出来ない仕事」を日頃から行なっている事になります。

エピソードを聞く。
売り買いの話より空室改善の

 「私はこの道何年」「お客さんがこんなにいる」というのも信頼の証と言えば証ですが、具体的なエピソードを聞くといいのではないでしょうか?
 定性的な話というのは、多少ドラマチックに話されがちですが、話の流れで人間性も伺えます。そうした話の内容も「どこそこでこういう物件があったので、私が仲介して大家がこんなに儲かった」という自慢話ではなく「こんなに空室が多かった物件をこうして入居率を高めた」というような話が出てくるほうが頼りになります。これからは全国で空室が増えます。「よい売り物件を仕入れる」という目利きも確かに大事なのですが、「多少課題がある物件でも利回りを改善できる」ほうが時代に即しています。
 収益物件の売買時に、こんな会話をしながら、「この物件は買い」かと同時に「この人物は買い」か判断して行くと良いのではないでしようか?

ビジネス行為なのですから、双方の利害関係の中でベストを尽くすべきです。売買時の一瞬の相手としてではなく、これからのビジネスパートナーとして信頼できるかどうかを、よく考えながら契約をして行きましょう。