TOP満室経営のツボvol.48

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ヒント集

vol.48

2016.10.20

旧耐震物件の対策は
「減災」という考え方を

「古い物件なんだけど、耐震診断をしたら、やっぱりアウト。
ところが、耐震基準をクリアするには、ものすごい見積もりが来て。
もう売るしかないのかな」
こんな物件はどうしたらいいのか。今回のテーマです。

写真はイメージです

昭和56(1981)年5月31日
以前の建築確認物件

 以前もこのコラムで旧耐震の物件について論じさせて頂きました。旧耐震とは昭和56(1981)年5月31日以前に建築確認申請された物件のことです。この当時の耐震基準では、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されています。それ以降の耐震基準は震度6を想定しますので、旧耐震物件は一般に地震に弱いとされています

収益物件市場に、
なぜ旧耐震物件が出てくるのか

 さて、投資用物件の市場では利回りと同様に気になるのが「バストイレが別かどうか」と並んで、この「旧耐震物件かどうか」は注目すべきポイントとなります。昭和56年以前の物件はシンプルに築古という事になりますが、耐震に不安があるわけです。
 先の熊本の震災でも旧耐震物件が倒壊し、住んでいた方が亡くなられるという不幸な事件が起きました。中には築年数を曖昧にしたまま「リフォーム済み」として広告していた物件もあったことが分かっています。震度6の新耐震基準で建設されていない物件だと知らずに住んでいたとすれば、本当に悲しい事件です。
 こういう理由もあって、旧耐震の物件が収益物件として一棟売りなどに出てくるケースも見受けられます。このままでは耐震に不安がある。しかし耐震補強費用は高く、その投資に見合うリターンが見込めないから売るというケースです。

診断すらしていない理由

 行政の調査によるとこうした旧耐震物件は、耐震診断をしていない物件も沢山あります。診断して強度が足りないとわかっても、補強工事費用が出せないからというのがその理由のようです。
 また、耐震診断すると、強度がたりないとわかってしまうので、特に分譲マンションなどは「調べない方がいい」という意見も出ているとお聞きします。

出典:「マンション実態調査結果」 2013(平成25)年3月 東京都都市整備局

診断結果に基づく補強工事で
診断基準達成まで出来ない時

 そこで「診断をした」→「補強が必要」→「しかし診断基準達成にはとてもお金が掛る」というケースで、ならば「診断基準は達成できなくとも、なんとか命は守りたい」という「減災」という考え方はいかがかと以前も論じました。

寝室だけは、倒壊を免れる工事

 最近開発されている商品では、長い間就寝時に滞在する寝室だけでも、頑丈な作りにするものや、玄関廊下までの退路を確保する工事、あるいはベッド回りだけをシェルターにするような商品が開発されています。
 これなら、安心度が増し、さらに災害を最小限に減じる事が可能です。
東京都の耐震ポータルサイトでは
耐震シェルターという方法を紹介しています。これはかなり画期的です。
http://www.taishin.metro.tokyo.jp/ploof/earthquake_resistant_shelter.html
こうした手法で、対策を講じ、入居時にはそのことを丁寧に説明して入居して頂く。こうすることで、日本の賃貸物件の安心安全はもっともっと増して行く事が出来るのではないでしようか?
 これからも、この問題については研究して、このコラムで発表して行きたいと思います。