関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.4

2014.12.16

賃料競争の前に見直すべき事が
大家さんのあなたにあるのでは?

前号に引き続き、7.7万円の賃貸物件が、5万円を切る家賃設定でないと決まらないと言われたAさんのサブリース物件。周辺を調べると、実は6万円で満室という物件がありました。
今回はその秘密に迫ります。

写真はイメージです

任せっぱなしの空室物件の貼り紙

 5万円を切らないともう決まらない」と言われたその課題物件。
見学に行くと、周辺にはない、気になるものを見つけました。玄関やエントランス、あるいは廊下やエレベータに貼ってある貼り紙でした。『廊下は静かに』『火災保険に入りなさい』『タバコ投げ捨て禁止』『自転車泥棒は警察に通報します』随分前に貼られたものもあり、ボロボロになっていました。
そう言われれば、オーナーであるAさんの父親の所には、こうした入居者クレームが入っているという話も届いていました。しかし、サブリースですから「そうした対応も管理会社でお願いします」という父親の態度は普通の事と感じていました。「最近は賃料も下がった分、入居者の質が落ちたな」などという愚痴は聞いていました。
しかし、これらの貼り紙は『廊下で騒ぐ人がいる』『火災保険に入っていない隣人がいる』『タバコの投げ捨てがある』『自転車が盗まれるかもしれない』と、見学者に「住みにくい物件」であることを知らしめていたのです。入居者の質を下げていたのは、見学時に隣人の質の悪さを宣伝していた自分自身だったのです。大切な資産価値を下げていたそのあまたの貼り紙をはがしながら、丸投げしていた事を初めて恥じたのです。

満室物件の自転車置き場にあった屋根

 近隣の満室物件を見に行きました。駅からちょっと離れたこの物件の自転車置き場には、屋根がありました。Aさんの物件は屋根がありませんでした。ネットで検索したら、両者の違いは全くありません。しかし、雨の日は濡れた自転車に乗らないと駅までは遠いのがAさんの物件でした。

ネット広告の差

 Aさんの物件と、近隣の物件のスペックの差はほとんどありませんでした。ただ、ネットで見るとその差は明らかでした。ライバルの物件は、日当たりがよい外観写真と、バストイレ、キッチンの写真がそろっていました。ところが、Aさんの物件は、暗い外観写真のみ。中の写真は、入居中の物件のものはなく、キッチンの写真もぱっとしない暗いもの。これではAさんの物件が引き立て役でした。なによりも違うのは、近くの公園の写真でした。Aさんの物件の写真は、冬に撮影した写真。ライバル物件の写真は、同じ公園で桜が満開でした。

退去させない工夫

 ライバル物件では、一人暮らしの学生さんたちの交流を深めようと、入居者どうしの飲み会が開かれていました。同じ大学に通う学生が多い事もあり、テストの過去問のコピーや、楽勝科目の情報などで、随分盛り上がったそうです。一方、Aさんの物件では、自転車泥棒やタバコの投げ捨てがある事からも、日頃から近隣の仲も悪かったようです。
騒音のクレームが起こっても、管理会社は「隣の部屋からクレームが出ていますから静かにしてください」といってしまった為、かえって仲が悪化して、双方が退去してしまう事もあったようです。ライバル物件では、一緒に飲み会で騒ぎ、Aさんの物件ではギスギスした仲たがい。こうして退去は増え、空室対策と称して賃料は下げ続けられていたのでした。
「貸してやる」から「借りていただく」への発想の転換。満室になっている物件と空室ばかりの物件を、実際に比較して努力できる事をオーナーも考えるべき時代にきているのです。