TOP満室経営のツボvol.39

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.39

2016.06.13

損益分岐点の変化に着目を

世帯数減少に伴い、空室率が上がっています。対策として、賃料を泣く泣く下げてなんとか埋めているケースもあります。
さて、空室率の悪化と賃料ダウン。
今の損益分岐は、何部屋の空室? いくらの家賃?
激動の賃貸経営で、日々変動する収支の話です。

写真はイメージです

損益分岐の入居率は?

自身の収益物件では、何部屋空くと赤字ですか? こうした問いに曖昧にお答えになられる不動産オーナーが多いように感じます。物件を買った時は、「表面利回り」「返済金額」「賃料収入」「税引き前利益」「税引き後利益」等様々な数字を見て判断したはずです。ところが、昨今の環境変化で、「このままじゃ決まりません」という仲介会社の要請で賃料を下げ、AD料を上乗せ。さて、ご自身の物件はあと何部屋空室まで耐えられるのか。ともすれば、「賃料収入」-「返済金額」だけで判断してしまっている方もいるのではないかと思います。ざっと「賃料収入」が年に1000万あり、「返済金額」が700万とすると、「賃料収入」-「返済金額」は300万。てことは粗利は3割だから、空室が3割を超えるとまずいかなという目安にされている方もいるかもしれません。しかし、これは危険です。

納税額の変動に注意を

「返済金額」の中には、当然「ローン金利」も含まれています。元利均等で返済する場合、初年度は「ローン利息」の比率が高くなります。「このローン利息」は経費として認められる為、納税額は少なくなります。
 例えば、1億5000万円の借金をしたとすると、返済金額は毎年700万円ぐらいになります(金利にもよりますが)。しかし、初年度はこの700万のうち300万ぐらいは「ローン利息」になり経費で落とせます。しかし、10年もすると、同じ700万の返済金額のうち、200万ぐらいがローン利息」となり、その分元本を返済する事となります。
 仮に、先ほどの例だと、
 「賃料収入」1000万/年
 「返済金額」700万/年
 で粗利は300万なのですが
 ①初年度は、「ローン利息」が300万あるため、「納税額」は93万円程度(大家さんの総収入にもよりますが)。
諸経費を除くと、税引き後利益は130万ぐらいです。
すると、損益分岐入居率は75%ぐらいです。
 ②ところが、10年以上たつと、ローン利息が200万ぐらいになり、納税額は100万を超えます(やはり大家さんの総収入によりますが)。
諸経費を除くと、税引き後利益は75万ぐらいです。
すると、損益分岐入居率は80%ぐらいです。
 ざくっと「3割空いたら赤字ぐらいかな」と思っていたら、いつのまにか「2割空いたらやばい」水準。これは滞納者がいた場合はやっかいで、税金のほうは滞納があってもかかってしまいさらに悪化します。
 こんな複雑な状況で、賃料のほうを下げているわけですから、収入のほうがどんどん減る。それでも返済金額は変わらず、経費で落とす金利分が減り税金が上がって行く。今は、収益不動産を持ち続けると、次第に収支が厳しくなっていくものなのです。
 全ての物件を合計して年度末に税金を納めていると分かりにくいのですが、物件個別にみると、持っている事がマイナスになり、今は「売り時」という物件もあるものです。

物件価値を向上させて、賃料維持を

現状は、空室が多くなっていく流れですから、どうしても「賃料を相場より下げて埋めよう」という提案が多くなります。しかし、これを続けて行く事は収益構造の悪化につながります。投資額はもちろん冷静に精査すべきですが、賃料を維持して空室率を改善できる打ち手であれば、前号で論じた物件の差別化を図る為の投資の方が有効に機能する事もあります。

環境変化時に頼りになるプロに

上記のような事は、税理士さんやファイナンシャルプランナーのほうが詳しいかもしれません。しかし、そうしたプロは、どんな投資をすれば満室になりうるかはノウハウがありません。では不動産会社はどうか。売り買いの目利きの強い売買仲介会社、入居者獲得に強い賃貸仲介会社と得意分野は別々です。しかも、なにをすれば物件力が付き満室になるかのノウハウを持つ不動産会社はまだまだ少ないのが実情です。
 だからこそ、人口が減り、空室が増えるという今の環境変化に強い不動産会社を、「どんな投資をしたら空室が減るのかね」と見積もりとともに提案させると良いでしょう。
 賃料を下げて入れるのも手です。しかし、その場合は損益分岐点も変動します。税理士とも相談しながら、ハンドルはしっかりと収益物件の投資家が握って、この荒波を乗り越えましょう。