TOP満室経営のツボvol.38

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.38

2016.05.18

「バストイレ一緒」の物件。
買う時の戦略と対策。

前回は、「空室対策を講じる」策があるかどうかが、収益物件を購入する際の新しいポイントとなる事を論じました。そこで今回は具体的に「バストイレ一緒」の物件を買うかどうか迷った時の考え方について、解説したいと思います。

写真はイメージです

「バストイレ一緒」は
統計的には不利

部屋探しで重視する項目の中で、「バストイレ別である事」は、多くの人が気にする項目です。最寄駅・駅距離・家賃と並ぶほどにバストイレ別は重視ポイントとなっており、バストイレ一緒の物件は、それだけ不利になります。不動産ポータルサイトの検索項目でも必ずある項目であり、「バストイレ別」で検索されれば、まず目にも止まらない。そういう項目です。
 だからこそ、空室になってしまったり、周辺の賃料相場よりも低くなってしまう傾向があり、だからこそ、投資用居住物件ではよく目にするのです。
 私も、収益物件を選ぶ際には、できれば「新耐震・バストイレ別」で運用したいと考えてきました。

「バストイレ一緒」を
リフォームするかしないか

それでも、「バストイレ一緒の物件を収益物件として購入しよう」と考えるのであれば、選択肢はふたつです。
①バスとトイレを別にする(あるいはシャワールームにする)リフォームを行う

②このまま、「バストイレ一緒」で闘う
かの判断です。
 購入時でなくとも、私のようなコンサルタントは、まず、①か②のいずれかを空室対策として考えます。

リフォームするなら、その工事も
含めて利回り計算を

ここで、「前の大家はバストイレ一緒のままで闘っていたので空室に苦戦した。自分はそこはリフォームして運用しよう」と考えるのであれば、購入費用以外に、そのための工事費を投資として考えるとよいでしょう。
 つまり、空室対策の施策のための投資金額も加味して、資産運用の利回りを考えるというわけです。
 元々の物件の間取りや水周りの構造にもよりますが、60万円~100万円ぐらいは、バストイレ一緒のユニットバスをセパレートにする場合はかかるのではないでしょうか?
 ここで、「他の人よりも安く工事をしてくれる会社を知っている」という投資家は、優位に立ちます。投資対効果を考えるためには、工事費をどう見積もるかは重要な要件となるはずです。

セパレート工事だけでは、
短所がやや減るだけ

ただし、この投資で必ずしも満室経営に至るかどうかは不安です。
 バストイレ一緒のユニットバスは現状、築浅では少なく、築年は20年以上ではないでしょうか? 不人気な畳の部屋であり、せまめの部屋、人気のLDKタイプではなく、DKタイプかワンルームである事が多いはずです。中にはベランダに洗濯機、エアコンのダクトも不便という物件もあります。
 もっとも大きな課題であるバストイレ一緒を解消しても、やはり近隣の築浅物件には様々な点で、魅力で劣る可能性があります。
 また、築年の古いユニットバスは、かなり狭い空間を活用しています。無理してセパレートにしても、膝を抱えないと湯船に入れないというケースもありました。セパレートにすれば壁の分だけ狭くなるのです。そう考えれば、無理にセパレートにして湯船を作らず、シャワールームにするという手法もあります。
 こうした点も踏まえて、かなりのリフォームをする必要があるかもしれません。その投資金額も踏まえて戦略を立てる必要性があります。
 区分で所有する場合は、セパレートにするだけでも、隣の部屋より優位になります。シンプルに考えれば、隣の部屋の人が引っ越してきてくれる可能性もあり、短期的には有効でしょう。
 しかし、棟単位で考えるとそうはいきません。近隣にはバストイレ別の棟がもっと築浅である事もあります。
 とある物件で私が経験したのは、空きが出た物件からバストイレをセパレートにする工事を行っていた大家さんがいました。セパレートにするとすぐに決まります。喜んで、空きが出るたびに工事をしましたが、いつまでたっても入居率が改善しません。「バストイレ一緒は、退去が多いせい。なにもしないよりはいい」とこの工事を続けていました。そして私が調べてみてびっくり。実は新規入居者は、このマンションの住人たちが次々と部屋を変えていただけだったのです。仲介の回数は増えていたのに、入居率は悪化するばかり。こんな可能性も棟単位で考えれば、十分ありえます。

「バストイレ一緒」を
気にしない人は?

では、「このままバストイレ一緒で闘おう」という判断。これもひとつの選択肢です。
 圧倒的にバストイレ別が人気といっても、それを気にしない人もいるものです。考えてみれば、多くのホテルは一緒のユニットバスタイプ。初めてのひとり暮らしをする学生は「そんなものかな」と受け止めるケースもあるでしょう。
 バストイレ一緒にも利点はあります。水周りが一気に掃除できますし、そもそもひとり暮らしで、たいして湯船につからないという人も沢山います。
 さて、では、どんな人がバストイレ別にこだわらないのでしょう? 職業による違いもあるかもしれません。性別による違いもあるかもしれません。年齢による違いもあるかもしれません。
 こう考えると、もっとも顕著なのは、国籍による違いではないでしょうか? 日本では「湯船につかる」という入浴行為も、世界では「シャワーを浴びる」という行為がデファクトスタンダードといえます。
 例えば、前の大家は、バストイレ一緒で、なにも手を打たず苦戦した。しかし、新しい大家となった私は、当該物件を海外からの留学生に提供するという手で満室にした。このようにターゲットを変える事で、リフォームをしなくても空室対策ができる事を知っていれば、「困っている物件だから売り」→「対策を知っているので買い」という事も考えられます。
 女子学生の寮だったバストイレ一緒の物件を、バイク好きのためのバイクが直せるちょっとワイルドな物件、としてターゲット変更したケースもあります。購入時にこうしたアイデアがいくつかあり、そのエリアの市場にあっていれば、これは戦略として有効でしょう。

「バストイレ一緒だけど○○」を考える

また、「バストイレ一緒」で闘うけれども、「別のなにか」を付加価値として、闘うという手もあります。
 例えば、
・「バストイレ一緒」だけど「大型犬が飼える」
・「バストイレ一緒」だけど「楽器が吹ける」、
・「バストイレ一緒」だけど「共用部に大きな浴場がある」、
・「バストイレ一緒」だけど「ゴルフの練習場が屋上にある」・・・。
 アイデアを考えれば、実は、こうしたハンデ物件は「買い」でもあります。その短所を改善するよりも、新しい長所を提案すると、インパクトがあります。
 つまり、「周辺の物件と同じようにバストイレ別にしよう」という同質化戦略ではなく、「バストイレ一緒のままで闘う覚悟を決めて、周辺の物件には全くない魅力を付けよう」という差別化の戦略です。

短所の克服より、個性を伸ばす。
同質化より差別化の考え方で。

このような課題は、築古で空室が多い物件にはいくつもあります。そんな時に短所を論じていると、究極、「いっそ、建てなおした方が良い」という事もあります。正直「建てなおす」という選択肢が③としてあります。
 しかし建て替えは、利回りの確保が難しく、立ち退き料という問題も起こり得ます。回避策としては定期借家契約に随時変えて行く事ですが、これもいろいろな法律の壁があり、長期居住者がいる場合は難しくなります。
 そんなときは、①と②の判断で迷いますが、この際、「短所を克服するだけ」というのは、なかなか上手く行きません。物件は毎年古くなり、ライバル物件は増え、人口は減るのですから。
 そこで、短所の克服という発想から、長所を伸ばす、あるいは長所を創るという発想が必要かもしれません。
 「家賃を下げる」「広告料などを出す」事は手っ取り早い方法ですが、結局は収益力を下げて行きます。収益力を上げて行く為に、もっといろいろな方法がある事を学ぶと、収益物件への投資も楽しくなるのではないでしょうか?