関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.37

2016.05.06

今求められる
「目利き力」は「空室改善力」

中古流通の物件価格の上昇もいよいよ天井感が見えてきました。
とはいえ、利回り&将来性のよい物件はなかなか出てきません。なぜならよい物件は手放す理由がないですから。となると、市場に出る物件は利回りの悪い高額物件か、空室の多い築古課題物件となります。
そんな中から、どういう目利きで、よい投資先を見つけるべきでしようか?

写真はイメージです

人口減少時代の掘り出し物はない

これまで述べてきたように、よほど短期間に現金が必要という理由がない限りは、掘り出し物は簡単には見つかりません。今、この瞬間高利回りであっても、今後世帯数は減少し、ライバル物件は増加します。
 むしろ売りに出る物件はなんらかの「訳あり」です。その理由は様々であっても、前の持ち主が手放す際、これから空室リスクが高い、あるいは既に空室が多いという事があります。
 株に例えていうのであれば、「これから下がりそうだ、あるいは既に下がってしまった」ので「売りに出た株」という事です。
 株の場合は、「とはいえ、こちらとしては上がると見立てて購入する」という売り買いの話です。ところが収益物件については、全体マーケットとしては人口減少・ライバル物件の増加機運であり、外部要因として上り調子であるとは考えにくいという事になります。

空室改善のアイデアが重要

とはいえ、株式と異なるのは、我々が空室改善策を持っていれば、その物件の収益は改善できるという点にあります。
 先日、とある不動産コンサルタントが賃貸マンションを購入した。彼、いわく「現状は空室が多く、空室率が高いので、売却価格が安かった。しかし、エアコン等設備を入れ、共用部の清掃と内装をいじれば、満室稼働が見込め、収益率が上がるので購入した」とのこと。この発言がフェイスブックに掲載された時に、なるほどこれからの買い方だなと感じたのです。
 昨今は、賃貸経営の外部環境が悪化して行く事が懸念されているにも関わらず、価格が高く、利回りはよくありません。だからこそ、「空室改善できる」という策があれば、「お得な買い物」に代わるチャンスだといえるでしょう。まさに、そのアイデアと経験値が、勝負の時代といえるのです。

居住者にとって「投資用物件」はない

 実際、投資家の皆さんにとっては、「投資用居住物件」というのは、ひとつのジャンルですが、住み手となる入居者にとっては、そんな事は関係ありません。居住者の目線では、利回りも投資家も関係なく、住み心地が良いかどうか、家賃が高いかどうかという事になります。
 「もっと利回りのいい物件が出たら教えてね」と要望される事は、決して悪い事ではありませんが、それは全ての投資家が同じように思う事。となればその幸運を待つよりも、自ら、その幸運をつかむ為に策を講じる事が可能である時こそ、勝負といえるでしょう。
 では、どう考えたらいいのでしょう?
 ここは、「投資用物件」ではなく「住む人がいる賃貸物件」と考え、ターゲットを考えて行く事がひとつのポイントです。現況住んでいる入居者は、どんな人が多いのか。学生なのか、ファミリーなのか。男性なのか女性なのか。ホワイトカラーなのかブルーワーカーなのか。近隣物件、あるいは人気物件と比べてどこが短所であり、どこが長所であるのか。
 そのままでは、前の大家さんが手放したくなる状況となんらかわりはなく、投資効率は悪いはずです。

「同質化」と「差別化」

 周辺での空室対策を聞いてみましょう。例えば女子大が近く、周囲では防犯対策を施している物件の入居率が高く、当該物件がなにも対策をしていなかったとすれば、そこに収益改善のヒントがあります。こうした、「よい物件の工夫を見習う」という手法は「同質化」という手法です。経営戦略等でもよく行なわれる手法です。例えば、携帯電話会社でライバルが学割をして成功したなら、他社も追随という手法です。賃貸物件の多くは、工夫をしないまま、空室が増え、募集対策として賃料を下げているだけという物件も多く、周囲で成功している物件を真似るという方法は空室対策に有効である事が多いものです。
 一方で、先ほどの学割のように、「どこもかしこも同じ手法」となると、それでは、他の物件との違いが際立たなくなります。これを避けるのが「差別化」という手法です。
 以前、私がとあるエリアで、「このエリアは女子学生が多く、下着の盗難が多いので、防犯カメラと室内物干し用のフックを付けたらよいのでは」と講演した事がありました。翌年、そのエリアで講演させていただいたところ「このあたりでは先生の話を伺って、みんな防犯カメラと室内物干し用のフックを付けたのですが、結局、空室が改善しなくて」とお聞きした。みんなが真似しすぎて同質化してしまったのです。ところが、ある物件では、「カップル可」としたところ満室に。防犯対策の設備が標準となったエリアで、同棲OKの物件は希少価値を上げたのです。
 このように、エリアの状況によって打ち手は変わるものですが、「自分ならこうする」というアイデアを持ち、地域に詳しい不動産会社と相談しながら、勝てるアイデアを持っている投資家が、高い利回りを確保できる。そういう時代になったのではないでしょうか?