TOP満室経営のツボvol.30

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.30

2016.01.21

仲介会社に「なんとかしろ」といえば
決まる時代は終わる

入れるのは仲介会社の仕事。なかなか決まらない物件は、なにか報奨金を出して誘導してもらう。そうすれば決まる。そんな風に考えていませんか?
たしかに仲介会社が強い時代もありました。しかし、もう特定の仲介会社が市場を席巻しているというような事はありません。まして、高い報奨金を払って決めてもらう等という行為は、本当に有効なのでしょうか?

写真はイメージです

「仲介力」とは本当はなにか

賃貸新聞をみると、今年も、全国仲介件数ランキングなるものが出ています。しかしこの数字はあくまでも各社の自己申告数字。各社で定義も異なるようで、この真偽にはいろいろな意見もあります。ともあれ、この数字を信じるとしてもはっきり言える事があります。仲介会社はどこかが独占するほどのシェアはないのです。
 つまり、「仲介手数料は他社の半額と掲げてプライシングで優位に立つ特定企業があったとしても、マーケットの半数を抑えているというわけではありません。つまり、企業ブランドで仲介力が圧倒的に高い会社というのは、存在していないのです。
 だとすれば、法外な報奨金を払って、自分の物件の客づけを優先してほしいというアプローチが本当に有効かは眉唾です。どこかが圧勝していれば、その会社の客づけ力に頼り、優先順位を報奨金などで前後する事は可能かもしれませんが、仲介会社の実力値は横一線。全ての物件はネットで公開され、スーモやホームズなどのポータルで比較検討されています。にもかかわらず、仲介企業に優遇をお願いしたところで、本当は結果に差などあるはずもないのです。

そもそも宅建業法との齟齬

宅建業法では、家賃一カ月分の仲介手数料しか認められておらず、入居者と不動産オーナーの双方から一か月分の仲介手数料をとり、合計2カ月分もの仲介手数料を獲得する事は、実態はともかく業法違反です。
 業務委託料・広告料・AD料など様々な名称で、ここをすり抜けようとするわけですが、「AD3カ月でないと決めてもらえない」などということは、かなり悪質です。

報奨金をいくら積んでも、
物件の利便性は変わらない

例えば、洋服屋のセールスマンにいくら報奨金をあげても、ダサイ服は売れるわけがありません。カーディラーの営業マンのインセンティブをあげても、クルマに魅力がなければ売れるはずなどありません。指輪に例えようが、布団に例えようが、なにに例えようが同義です。
 つまり物件が決まらないのは、報奨金の多寡にかかわらず、物件そのものに魅力がないからです。
 駅から遠いのに、自転車置き場に屋根がない。自転車で駅まで通うとしても、濡れたサドルに乗るのは誰だって嫌なもの。ところが、決まらないからと報奨金ばかりを積んで、無理に誘導してもらったところで、やっぱり濡れたサドルに乗るのは誰でも嫌。結局退去も多く、いつまでたっても決まらない。こんなことが多いのです。

どこにでもある物件は、
どんどん淘汰されていく

人口が減り、物件が余る。そんな時代で、報奨金やインセンティブでなんとか入居者を獲得しようとしても、物件に競争性がない以上、どうにもなりません。どこにでもある物件ですから、家賃を下げるしか手がなくなり、それでもダメだから、報奨金を要求されるがままに払う。これではわるいスパイラルは止まりません。

報奨金の額でできる
物件の付加価値向上策は?

報奨金が何カ月分にも高騰してきたならば、いっそその額で設備やリフォームに投資して、物件の魅力を磨く事はできないでしょうか?そうすれば、その魅力は次の募集でも使え、さらに報奨金の分だけ、魅力アップが可能です。
 これまでこのコラムで述べてきた、自転車置き場やエントランス、あるいは廊下などの環境改善も有効でしよう。ネット無料も新しい流れです。アクセントクロスや生活感のある写真の工夫もよいでしょう。リフォームもよいかもしれません。
 報奨金というやり方は、とりあえず解熱剤の注射を打って、風邪をなんとかするような方法です。しかし、そういうやり方では、毎度毎度、注射を打ち続けるしかない。むしろ風邪にならない体力増強や体質改善を行い、対処療法で熱を下げるようなスパイラルから脱する事が大切なのです。

 「収益物件」とは、まさに「収益を上げるための工夫をして勝負をする物件」です。黙っていても収益が上がるという時代が過去のものとなってきている今、戦いに勝つ為の投資を考えるフェーズになってきているのではないでしょうか?