関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.3

2014.12.03

家賃を下げても下げても埋まらない物件。
言いなりになる前にすべき事

新築時に家賃7万円で満室だった物件。
5年10年と歳月が経ち、空室が目立ち始めてきた。
「35年一括保証」というサブリース契約を建築時に結んでいるから、オヤジは安心と言って建てたのに、更新する度に実勢賃料が下がり、もう、5万円を切らないと決まらないとのこと。
それってホント?との相談を受けました。

写真はイメージです

こんなはずじゃなかったのに

 先祖代々の土地を駐車場にしていたAさんの父親。15年前にやってきた大手ハウスメーカーの「35年一括保証です」という営業トークと、「このまま駐車場にしていても相続税も高いですよ」という税理士からのススメもあり、賃貸マンションを建設しました。契約はサブリース、空室でも保証してくれるというのだからリスクはない。そう思って、契約したはずでした。新築時は完成前に予約で満室。素晴らしい出だしであった。表面利回りは10%以上で、国債や投資信託よりもローリスク。親としては安心して子供に資産を渡す事が出来たと喜んでいたそうです。

年々上がって行く予定だった賃料は、下がる一方に

 ところが当初のシミュレーションでは、年々賃料が上がって行くはずだったのに、5年10年と時が経つにつれて、賃料が下がって行く。「ここにこう書いてありますよね。相場で賃料は見直させていただいているんですよ」という不動産会社は、いつの間にか担当者は変わり、建築時の夢物語は忘れさられてしまいました。
 当初は、7.7万円の家賃で、90%の賃料保証のサブリース。10戸の賃貸マンションで毎月70万円。年間840万の賃料収入。8000万の建築費のうち5000万は銀行ローン30年で、当時の金利で毎月20万円の返済。管理費が5%+諸経費で毎月6万円の出費。70-26=44万円の収入は、たしかに一家の収入としては大きかったのです。ところが、15年経って、4.8万円の賃料でないと決まらないという。90%の賃料保証で43.2万の収入。銀行ローンは変わらず、管理料は下がっても、古くなった物件のメンテナンスコストはあがり、さらにAD料などもかさみ、支出は30万円。すでに44万円あった収入は、13万程度になってしまいました。固定資産税や所得税を払うと、これでは損益分岐点を超えてしまいます。ハウスメーカーからは、「100万円でリフォームをしましょう」という提案がきていますが、それでは完全に赤字でした。こんなタイミングで、Aさんは父親からこの賃貸マンションを相続しました。まだローンは15年あります。

サブリースだからリスクなし?
家賃見直し条項にご注意を

 サブリース契約の危険なところは、かつては、契約先の倒産というリスクでした。リーマンショック以降、サブリース契約した物件の空室が突然増え、それに耐えきれなくなった中小工務店が倒産してしまいました。建築を獲得するために、無理なサブリース契約で受注した会社は、空室変動に耐えられなかったのです。
 ところが、今のサブリースはよく読むと、この家賃見直し条項が入っています。家賃変動のリスクはオーナー側が背負っているのです。

本当にそこまで家賃を下げなければ
決まらないのでしょうか?

 現在のサブリースのリスクは、むしろ、全て丸投げになってしまうことです。「5万円を切る賃料」であれば、たしかに簡単に決まるのかもしれませんが、そこを6万円で決める為の工夫の余地もあったかもしれません。世帯数は減り、ライバル物件は増えていますから、競争はより激しくなっています。物件も歳をとりました。魅力もたしかに落ちています。
 では、エントランスに花を飾ろう。では、掃除をしてお隣よりも綺麗な物件にしようという努力が、サブリースだからという理由で全く講じられない。元々周辺と同じような物件を建ててしまいましたから、賃料勝負の波に飲み込まれるだけになってしまいました。

近所の埋まっている物件と、なにが違うのか

 実は、この物件の周辺では、築15年の物件で賃料6.5万円満室の物件がありました。たしかに4.8万円なら決まるのでしょう。そこまで下げる必要はなかったのです。
新築時の7.7万円では決まりません。そこから、どこまで下げるのか。近隣物件の賃料を調べ、ネットの検索件数を調べてみると、いくつかのヒントがわかったのです。それは次号でご説明します。