関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.18

2015.07.27

IT重説の社会実験スタート。
入居者と不動産会社には
なにが起きるのか

前回解説させていただいたIT重説は、投資をするオーナーにとって、遠方の物件であっても売買がしやすくなり、市場が活性化するというメリットがあります。
一方、入居者や不動産会社にとってはどのような長所・短所があるのでしょう。

写真はイメージです

遠隔地の転勤時等の利便性が増す

これまで転勤等でお部屋探しをする人は、物件見学時と、重要事項説明時の2回、現地に行く必要がありました。急な転勤等忙しいときは、対面での重要事項説明が必要な現在の法律は非効率であり、「電話かネットで済ませられないものかな」という声は少なくありませんでした。
 IT重説は、「物件を見ずに決める」というよりは「実際に見て決めたけど、重要事項説明を聴くためにもう一度転勤先に行かねばならない」という、入居希望者の不便さを軽減する試みということができるのです。

小規模賃貸仲介会社にとっては、
実は便利なIT重説

今回のIT重説については、「高齢者の多い零細不動産会社は淘汰されてしまう」と反対をする人たちもいます。
 しかし、先ほどの転勤時のケースなどは、大手企業は「それでは物件見学は転勤先の支店で、重要事項説明は前任の部署の最寄店舗で」等と、多店舗展開の強みを活かした対応が可能でした。
 また、独立起業して規模が大きくない不動産会社の場合は、宅建免許を社長しか持っていないというケースも多く、重要事項説明のスケジュール設定も大変でした。こうしたケースでも、後日、双方のスケジュールの都合のよいタイミングで、自宅からでもネットで説明が可能となる事は、とても便利で、大手対策であるともいえます。
 このように考えると、「IT化に遅れた古い不動産会社を守る」というよりも、「複数店舗や多数の宅建免許取得者のいない中小企業にとっては、チャンスでもある」といえます。

社宅代行やサブリースは

現行の賃貸契約の基本となる宅建業法や借地借家法は、かなり古い法律です。法律ができてからの社会的環境は激しく、当時は想定していない社宅代行やサブリース等の新しい契約の仕組みもできてきました。こうした契約では、企業が契約主体となりますが、ひとつひとつの契約で、企業の社長と重要事項説明を対面で行なう事は、非現実的です。
 つまりはIT重説の是非を考えるだけでなく、現行法の対面前提の契約にはまだまだ改善点があるのではないでしょうか?

ネットが進化した時の
不動産会社の役割は

現在の不動産業界は、「宅建免許をもっている人間が対面で重要事項説明を行って契約する」という法律に守られてきた業界であるともいえます。
 一方で、街の商店街はショッピングモールによって淘汰され、タバコ屋さんは自動販売機に変わり、酒屋さんはコンビニに、薬局はネット販売へと時代がどんどん変わっています。
 今回のIT重説をきっかけに不動産業界にも大きな変化がやってくるかもしれません。規制緩和というのは、そうした変化にどう対応できるかと問われているともいえます。
 時代の流れは、水の流れのように大きなスピードでうねりのように動いています。それは、その水の中で泳ぐ魚にとって抗えないもののように、大家業にとっても不動産業にとっても、いかに流れに乗っていくかが大切なことなのでしょう。
 未来は不確定で、変化のスピードは激しいものです。私達は翻弄されることなく、うまくその潮流に乗り、変化をチャンスとして利用して行きましょう。

以下図版参考資料:国土交通省:ITを活用した重要事項説明に係る社会実験のためのガイドライン