TOP満室経営のツボVol.17

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

Vol.17

2015.07.15

インターネット重説スタート。
時代の潮流をつかんでいますか?

2015年、インターネットでの重要事項説明(IT重説)の社会実験がスタートします。7月3日には、社会実験を行うための国土交通省へのエントリーが締め切られました。当日は、国土交通省のサーバーにアクセスの負荷がかかりすぎて、つながりにくいという事態も起こりました。収益物件の投資家にとってはどのような影響があるのでしょうか?

写真はイメージです

ネットで不動産契約?
なにが目的なのか

いわゆる「規制緩和」の流れのひとつ、あるいは「アベノミクスの第3の矢」等といわれていますが、インターネットでの重要事項説明の解禁を目指して、社会実験がスタートします。
 「カジノ解禁」といわれれば、なんとなく経済効果を期待する人もいるかもしれませんが、ネットでの不動産契約が進んだとしてどのような経済効果が起こるのでしょう?

薬のネット販売の解禁に学ぶ

別の分野でのネット解禁を参考にすると良いのではないでしょうか?
 医薬品は、医師の処方箋をもとに薬局で買うのが当然。薬剤師がいて、街には薬局があってというのが昭和までの常識でした。それが、マツモトキヨシに代表される、薬局がコンビニとの垣根を超え、一方、コンビニでも薬が売られるようになり、とうとうネット解禁。24時間ほしい薬が手に入るようになり、離島や無医村等では歓迎する声も出ています。
 この医薬品のネット販売の旗を振っていたのは楽天の三木谷社長。
 今回の不動産契約のネット解禁についても、旗を振っているのは三木谷さん。「不動産契約だってネットでできてなにが悪い」という先進的な発想ですから、「スカイプ等の動画で、遠隔地の重要事項説明を行う」という今回の社会実験がゴールではなく、ネットでポチっと押すだけで、不動産が借りたり買ったりできる世界を目指しているのだと考えた方が良いでしょう。

法人の売買契約がネットで

この試案が出された時には、消費者クレームの立場の団体が猛反対をしました。「不動産を見ずに買うなんて、どんなトラブルに巻き込まれるかわからない」というわけです。たしかに一般消費者にとっては、不動産売買は一生にそう何度もあるものではありません。一方で動く金額も大きく、「だまされた」といったトラブルは、対面式の現在でもよく聞く話です。ネットでの解禁には慎重にならざるを得ません。
 そこで、今回は「まずは社会実験を行ってから」という事になっており、その対象は「法人間の売買」「賃貸」に限られる事になりました。という事は、「法人であればネット契約すれば、会わずに買う事もOK」というわけです。いかがでしょうか?
 「えっ? これまでも会わないで買った事はあるし、物件見ないで買った事もあるよ」という投資家の方ももしかしたら、いるのではないでしょうか。重要事項説明は、登録された店舗において対面で行なう事が義務化されており、現状では宅建業法違反なのです。

いずれサイトで売り買いする時代に?

ということは、今回は社会実験であり、法人間の取引に限られますが、インターネットを通じての売買は、いずれ解禁される流れとなるのではないでしょうか?
 今、私のコラムを、読者のみなさんが私に会う事無く見て、情報収集をしているように、収益物件もネットで選択し、遠方からでも契約してしまう世界が来ます。
 昨今は、都心部の地価が高騰する一方で、地方の核都市以外は世帯数の減少に伴い空室に悩んでいます。だとすると、「首都圏物件を高値相場で売り抜けする」「地方・郊外で空室が多い物件を売る」「利回りの良い地方中核都市の物件を買う」といったことが、ネットを通じて行なわれ、より市場が活性化する可能性が出てくるというわけです。
 時代の潮流を読むと「先祖代々の土地を守る」という姿勢だけでなく「手持ち資産のポートフォリオを、全国各地の物件を比較検討して積極的に変更して行く」時代がやってくるともいえます。その時に、「ネットでの契約」は「現地に行かずに行なう」という流れは行為的に受け止められる部分もあるのではないでしょうか?

外国投資家も参入しやすくなる

IT重説が進むと、自分の地元物件以外の売買投資が活性化するという事はこれまで述べてきたとおりです。業界での売買の機会が増える事は、物件のポートフォリオの変更や出口戦略を考える上でも重要です。地元で買い手のつかなかった物件が、遠くの不動産オーナーの目に留まって売れるかもしれない。これはとても期待できる未来ではないでしょうか?
 一方、実は、外国人投資家にとってもメリットが大きくなります。インターネットの動画で契約ができるとなれば、渡航費等のコストを圧縮して投資しやすくなります。
 IT重説は、実は、ネットに詳しくない不動産会社を中心に反対する人もいます。ネット化が進むと、仲介不動産会社を飛ばしての契約が進むリスクや、ネット技術についていけない不動産会社が淘汰されるかもしれないからです。
 しかし、収益物件に投資をする皆さんは、より市場が活性化されるチャンスとして、前向きにとらえてよいでしょう。まずは、法人間の売買と賃貸からの社会実験ですが、これからこのIT重説からなにが起こりうるかを、投資家の立場として、じっくり考えてみましょう。