関西の大家業をもっと楽しくする
ヒント集
vol.124
2020.01.07
方針を変える勇気と決断
なかなか通らなくなってきました。
今、どう戦略を切り替えるのか。それともなにか手はあるのか。
今回は、こうした点を論じます。
写真はイメージです
チーズはどこへ行った?
ビジネスの教材として名高い『チーズはどこへ行った』。著者は医学博士であり、心理学者でもあるスペンサー・ジョンソン氏です。
大量のチーズを発見した二匹のネズミとふたりの小人。小人は、チーズがなくなった現実を受け入れようとせず、わめき散らし、チーズが戻って来るかも知れないと無駄な期待をかけます。
一方のネズミのチームは分析などしない。すぐさま新しいチーズを探しに飛び出していき、大量のチーズを見つけるお話です。
金融の蛇口が閉まる
つい最近まで、収益物件を購入する際、「フルローン」なんて普通でした。しかし、もう今は、金融庁からのお達しで、そう簡単に融資はおりません。そこをなんとか通す融資先を探すという手もあるのかもしれませんし、いわくつきの物件を安く買ってどうにかしようという方もいます。そうした戦略もないわけではないでしょう。
一方購入した物件は?
一方で購入した物件はどうでしょう。満室で納得のいく賃料で、利回りが良いのであれば、それは良い選択をしたといえるでしょう。
ところが空室がなかなか埋まらず、家賃が購入時より下がっていて、利回りの悪い物件をお持ちの方もいます。これから空室が増えてきますので厳しくなるかもしれません。事業用ローンで先に金利を返済していると、金利分は経費で落ちますが、やがて元金の返済となると経費換算は少なくなり、税は増えます。
海外投資をされていた方は、税制の変更が今、叫ばれており、今後、節税効果が落ちることもあり得ます。収益物件オーナー受難の時代です。
他の投機?
「もうチーズはなくなった」のだから、「株を買う」という方もいます。ビットコインなどを論じるオーナーもいらっしゃいます。あるいは金・ブラチナなどでしょうか。そうした投機先を変えるというのも、ひとつの戦略でしょう。しかし、先の理由で今度は「今の収益物件がなかなか売れない」という状況もあります。
「今はケンだ」と静観される方もいます。
物件力をあげて勝負する人も
先日、新潟のオーナーセミナーで空室対策のセミナーを行いました。人口減少で、空室が増え、厳しい状況でした。でも、そこで、老舗の不動産会社の社長が言いました。「俺に300万わたしてくれれば、その300万でリノベして、必ずその部屋を埋める。家賃は5万円。年間5万円×12か月で60万円。5年で回収できる。60万÷300万なら、20%の高利回りだ。物件を持っている皆さんだから出来る。なんならサブリースしてもいい」と宣言しました。
来ていた銀行も「ならば貸す」と叫ぶ。そう、今、空室があるならば、それを満室にすれば収入が増えます。
新しいチーズはなくなった。でも、目の前に空室はあるのです。
さて、このコラムも、こうした環境変化に対応して、ここで連載を終えます。全124回。いかがでしたでしょうか。
続けるのも勇気。そして変化に対応し、筆をおくのも勇気です。これまでありがとうございました。