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ヒント集

vol.121

2019.11.26

いよいよ改正民法が施行。
極度額の設定は決めましたか。

2020年4月1日からいよいよ民法が改正・施行されます。
これは、120年前に制定された民法を、現代にあわせて改正するものです。
収益物件オーナーがすべき準備は十分でしょうか?
今回は民法改正について、論じます。

写真はイメージです

連帯保証人の極度額が変わる

 改正民法465条の2によると、「個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない」と記載されています。「根保証」という言葉が聞きなれないかと思いますが、「未納分の家賃を保証人として保証する」という事は、「本当に自分が返済するとなると、いったい、いくらになるのかわからない」という事になります。
 これまでは、家賃債務保証会社でも個人の連帯保証人でも賃貸契約では「最大でいくら返済する事になりますよ」という極度額の設定は不要でした。ところが改正される民法では、それでは連帯保証人がかわいそうだと、上限の金額=極度額の設定が必要となりました。
 これにより、個人の連帯保証人は、極度額を設定しなければ金銭債務を負わないということになりました。つまり、4/1から契約をする際には、この「極度額が設定されていない」と「保証人の契約がなんと無効になってしまう」のです。

では、極度額はいくらに
設定しますか?

 極度額は、「金額」で表記しても「家賃の●か月分」と表記しても構わないことになっています。ではいくらぐらいが妥当なのでしょうか?
 「滞納されていた賃料」「原状回復費用」をここからいざというときに捻出するということになりますが、地域にもよりますが、家賃の2~3年分が多そうです。特に高額になるケースは自殺などをされたケースです。その後の家賃減額なども起こりうるので、33か月分、などと設定されているケースもあります。
 かなり高額になり、連帯保証人になってくれる人がいない、といったケースも想定されます。こうした際も含めて、家賃保証会社の利用が増えることが想定されています。

ではいつから、反映されるの?

 賃貸借契約締結日により決まります。そのため、契約期間が2020年4月1日からであっても2020年3月31日までに賃貸借契約を締結していれば現行民法が適用されます。そうです。3/31までに契約を締結していれば、極度額の記載は必要がないという事です。
 ただし、賃貸借契約と保証契約は別の契約ですので、賃貸借契約に現行民法が適用される場合であっても、保証契約(個人が保証人となる場合)が2020年4月1日以降に締結される場合は、極度額の定めをしなければ無効となりますので注意が必要です。つまり保証人とのハンコのやり取りも年度内に行う事が必要です。

更新時はどう考えれば
よいの?

 それでは、極度額を設定していない今の契約を2020年4月1日以降に「更新」する場合はどうなるのでしょうか。
この時、賃貸借契約のみの更新であれば、保証契約は現在の民法の時のものが継続します。つまり、賃貸契約は更新するけど、保証人のハンコのやりとりはないよ、というケース。更新しているのは賃貸借契約のみであり、保証人との契約は、旧民法のまま継続します。
しかし、保証人に対して署名押印をもらって保証契約も更新するのであれば改正民法が適用されるため、極度額の定めが必要となります。
私個人は、保証人がお亡くなりになっているケースもありますので、改めて、保証人の捺印をもらったほうがいいと思っていますので、その際に極度額の設定をしてハンコをもらうべきと考えていますが、極度額の設定がない旧民法のままのほうがいいという判断をされている方もいらっしゃいます。
一度、収益物件オーナーは、ご自身の契約の更新時にどうしているかの確認をするようにしましょう。