TOP満室経営のツボ設備vol.118

関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.118

2019.09.26

入居者の「ほしいもの」は?
「サブスク」「不可逆」にヒントあり。

iphone の新機種が発売されます。
まだガラケーを使っている方もいる中、
そんなに新機種がいるのかな、と思われる方も
いると思います。しかし、きっとまた売れるのです。
こうした、新しい商品がなぜ売れていくのかに、
これからの賃貸経営のヒントがあるのです。

写真はイメージです

なぜ新機種が売れるのか?

 スマホの新機種がまた発売されます。売れるのでしょうか? もう十分高機能だから、前のままでもいいはずです。なのに売れる。なぜなのでしょう? もちろん、「俺はガラケー」という人もいます。しかし、まだまだ「新機種が出たなら、買おうかな」というニーズは強いようです。
ところが、一方で、食料品などでは「新商品」「新発売」とCMでガンガン流しても売れない。スマホのそばで売られている家電などは、「壊れないならわざわざ買い替えなくても」と思われる時代ではないでしょうか。
成熟した家電というマーケットは目新しさを失ってしまっている。わざわざ買い替えるほどの新機能やサービスはないし、丈夫で長持ちするようになってきました。多くの国内家電メーカーが苦しんだのもこの現象かもしれません。

「サブスクリプション」という
ひとつのキーワード

これまでは、通信料に混ぜられて、毎月チャリンチャリンと引かれるという形式でした。わざわざ、何十万もする新機種を買うほどの購買意欲はなくても、「月々●円で、今なら買えるの。その分通信料も割安になるし」と、なんだか、軽く機種変をしてきました。
 これは、収益物件オーナーでも、経営時に感じる事です。「今月はトラブル対応を36時間しました」「家賃の滞納取り立てに、●人月かかりました」などと都度都度、「今月は35万円」などと請求されると賃貸経営が安定しません。そこで、「家賃の5%払っておくから、その中でトラブル対応とか管理の仕事はやっといて」というのが、管理料と言えます。「満室保証するから、10%のリスク費用を毎月ください」と言っているのが、サブリースともいえます。
 ドカンと高額の請求が来るとしんどいけど、毎月の金額なら、まあ、いいかと思う、この方法は、「サブスク」とか「サブスクリプション」と言われます。「映画一回3000円」という金額ではなく、「毎月定額でアマゾンプライム見放題」というような手法。考えてみれば、新聞の購読料やNHKや牛乳配達も同じような方式ですね。
 「敷金ゼロだけど、毎月、修繕費予定費として、1000円ずつ貯めておく」というようなやり方もヒントになります。

充電容量・軽さ・スピードという
付加価値にある「不可逆性」

 こうしたスマホの毎月チャリンチャリン払いは、終わります。そうすると、何十万もかかる機種代金が、「通信料とごっちゃになってよくわからない」というサブスク理論が響かず、今回は売れないのではないか、という説もあります。
 しかし、案外売れそうです。家電はさほど新製品は売れないのに。なぜか。
 それは「新機種が電池の容量が大きい」「新機種がさらに軽い」「新機種がさらにサクサク動く」といった機能面です。ここに、実は、賃貸経営のヒントがあります。

温水洗浄便座やエアコンは、
性能差が、入居率に影響しない。
しかし、ネットは違う。

 家電は新製品をどんどん出しても、まだ前のものが使えるなら「わざわざ買い替えるほど」ではなくなっています。そりゃ、実は性能はいいはずなのです。新製品の温水洗浄便座は、すごーくコンパクトだとか、新製品のエアコンはハウスダストも取り除くとか。でも、買い替えるほどではない。
 そう、賃貸物件でも、温水洗浄便座やエアコンが「ついていること」が重要であって、個別の部屋で、その性能がとやかく言われることは、まあ、あまりないのです。少なくとも、「このメーカーの新製品だからこの部屋を借ります」というほどではない。
 しかし、スマホ環境は違います。わざわざ買い替えるほどですから。使える機種であっても買い替えるぐらいですから。「この部屋は、1Gで高速です」と「この部屋のネットは遅くて、時々、Wi-Fi切れます」ではかなり違うのです。特にスピード環境はあきらかに体感が異なります。
動画が止まる、ネットゲームで負ける、大事な資料がなかなか送信できない、などは、かなり「問題」となりえます。「スマホの新機種など買うまでもない」ほど、ネット環境が充実してしまえば、スペックの差など大したことはないはずなのですが、今は明らかに差があるのです。

一度、それを使うと、
元に戻れない・・・不可逆

 話を別の設備に置き換えましょう。
 例えば、バストイレ別。今や、ほとんどバストイレ別です。しかし昭和は、バストイレ一緒が当たり前でした。
 実は、一緒でも別でも、体を洗う・用を足す、という機能に大差はありません。しかし、バストイレ別で暮らした人は、そう簡単に「バストイレ一緒でいい」とは思えない。
 温水洗浄便座はどうでしょう。機能の差は特に部屋選びには影響しないものの、実は、「温水便座のある暮らし」を体感した人は「温水便座がない生活」にはなかなか馴染めない。
 そうなのです。一度、それに慣れてしまうと、もう元には戻れない。これを不可逆といいます。
 例えば、キャリーバック。荷物を入れてゴロゴロ転がすやつ。一度、あれを手にした人は、なかなか、以前の、自分の手で運ぶスーツケースには戻れなくなります。テレビのリモコンもあって当たり前。チャンネルがついているテレビに戻る事は、もうありえない。むしろ、声だけで切り替えられる方向に流れていきます。そう水は低いほうに流れるのです。
 温水洗浄便座であれ、エアコンであれ、「使いこなすと、ないと不便なので、もう前には戻れない」という設備。これは、いずれ普及していくでしょう。一方、ミストサウナなどは、「それがない生活には戻れない」というほどではないかもしれません。分譲マンションにある、ディスポーザや床暖房、は、どうでしょう。オートロックやTVモニターフォンはどうでしよう。宅配ボックスは?
 馴染んでしまうと「もはやそれがない生活には戻れない設備」を考えてみましよう。案外、玄関の鏡とか、トイレのスマホ置き場、あるいは自転車置き場の照明といったものに、空室対策のヒントがあるのかもしれませんね。まだ、そんなに使われていないスマートスピーカーよりは・・・。