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ヒント集

vol.117

2019.09.18

4月の「入居予約」を許容しますか?
学生物件の新事情。

学生物件のマーケットが変化しています。
私立大学のAO入試や推薦制度。
早まるお部屋探しは、受験日に親が部屋を見学して
「合格前予約」という制度も出ています。
4月入居の学生をどう確保していくべきなのでしょう。

写真はイメージです

合格者の半数が年内に決まる?

 賃貸物件は、人口が減ってきた影響で空室が増え、家賃が下がってきています。同様に、人口減少で大きな転換を迫られているのが、教育業界です。
 人口が減ったため、現在、大学は「全数合格」が理論的には可能となっています。受験生の数が募集定員の数を下回っているのです。私立大学の半数では定員割れとなっており、学生の確保に必死です。
 とうとう、倒産する大学が出ました。新規募集はしないという宣言をした私立大学が出ているのです。予備校も経営難です。なにしろ合格してしまうわけですから、浪人生が激減しているのです。
 こうした流れの中、「早く学生を確保したい」という思惑から、AO入試や推薦入学など、一般の受験より早いタイミングで合格者を確保し、定員を確保しようという動きが大学や専門学校で始まっています。こうして、学生は合格が早く決まり、では早めに部屋を探そうか、という動きが起こっているのです。

受験に親が付いてくる時代

 また、大学受験に親が付いていくという風景も、今は普通です。私など昭和の時代の人間には考えられませんが、令和の今や、親も一緒に受験会場に行くというわけです。過保護とは言いませんが、家族の関係性も変わっているのです。
 すると、当の学生本人が受験している間は、親は暇です。待機室のようなものはあるのですが、子供が受験をしている間に、部屋探しをしておこうという親もいます。そこで、「合格前予約」と言って、受験日から合格発表の間に「部屋止め」をするという新しい手法です。国立大学で倍率が2倍程度であれば、半数は不合格となり、キャンセルとなりますが、半数は合格します。部屋探しを一歩先に対応し、こうしたニーズの変化を受け入れたオーナーが、物件の満室力をあげているというわけです。

10月に合格。
4月に入居を許容できるか

 この際、最も収益物件オーナーが悩むのは、例えば、AO入試で10月に合格が決まった入居者を「4月入居」という前提で、認めるかどうか、という課題です。おそらくは4月からは住んでくれる。しかし、家賃発生は4月からとしないと断られますから、10月に予約を受け入れると、半年稼働しない事が確定します。
 立地にもよりますが、「学生しかなかなか入居しない」のか「社会人も時折入居する」でかなり考え方は異なりますが、10月に入居者を確保するのが難しければ、4月からの入居者をむしろ積極的に確保したほうがよいことになります。

今、空室があることを
「モデルルームがあるようなもの」
と前向きに

 学生のお部屋探しが「早期化している」と考えると、実はこの「今、空室が出てしまった」ことはチャンスです。この空室をモデルルームとして見学してもらい、ほかの3月末退去予定の物件も見学してもらえばよい。すなわち「4月入居の予約を半年稼げない困った話」と考えるのではなく、ほかの退去予定の物件も精査して、「来年4月に満室にするための武器」と考え直して、今入居中の物件も「合格前予約」や「入学前予約」をしていけばよいのです。

ピンチはチャンス

 今後もマーケット環境は変わります。「昔からこうしてきた」という発想は、私たちが、飲食店やアパレル経営をしているとすれば、コンサバティブで、変化に対応できない障害となります。缶コーヒーのCMでインスタ映えする和菓子を思いついた二代目の和菓子屋が儲かった、というようなエピソードが出ています。賃貸経営も同じです。入居者の動きが変われば、私たちもその変化に対応すべきでしょう。変化はチャンス。この荒波で乗り切った人が勝ち残っていくのです。