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ヒント集

vol.115

2019.08.08

高齢者入居を
前向きに考える

人口が減り、空室が増えていくこの時代。
しかし、確実に増えることがわかっているのが高齢者です。
収益物件としては、とはいえ、孤独死のリスクを考えると心配なのも事実。
そこで、今回は高齢者入居について論じます。

写真はイメージです

すでに4人に1人は高齢者
20年後には、約4000万人!!

 我が国の高齢者の比率は国勢調査によると既に、4人に1人という高い割合です。なんと国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年には65歳以上の人口は「3,868万人」とピークを迎える事になります。わずか20年後には、4000万人弱が65歳以上。そりゃあ年金も足らなくなりますし、介護職の確保も大変になる訳です。
 「人口が減って、空室が増える」と言われる一方で、確実に高齢者は増えていくのです。それも今の収益物件の利回り計算で考えているわずか20年の間にです。すごいですね。

増え続けるのは75歳以上という現実

 「65歳以上の高齢者というが、自分の身の回りの65歳はいたって元気だ」「収益物件のオーナーである自分が60代だ。大丈夫」という意見もあります。しかし、実は、高齢者のうち増加し続けるのは、75歳以上。
 「元気な高齢者」と楽観視出来る状態ではありません。徘徊や介護、あるいは滞納や孤独死など、様々なリスクを考えてしまう収益物件オーナーも多いはずです。

※資料は、2010年までは総務省「国勢調査」、2013年は総務省「人口推計」(平成25年10月1日現在)、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

孤独死の平均年齢は、
男性60歳。女性58歳。

 収益物件オーナーが、もっとも心配するのは孤独死の問題でしょう。友人が少なく、家族と疎遠になっていたりすると、亡くなってもすぐにわからず、孤独死となりかねません。死後1か月など経過すると死因も判明しにくいため、警察の聞き込み捜査も始まります。こうした孤独死があった物件は、清掃費用など原状回復費用は、40~60万円はかかります。ときには100万円を超えることもあるそうです。また事故物件となるため、告知義務があり、空室リスクや家賃が減ってしまうというリスクも抱えます。

日本少額短期保険協会・孤独死対策委員会・第3回孤独死現状レポート 2015年4月~2018年2月

高齢者は既にあなたの物件に
住んでいる

 こうした背景から「高齢者は入居時に断っているよ」という収益物件もオーナーもいると聞きます。しかし、そういうオーナーの物件には高齢者は住んでいないのでしょうか?実は答えはNOのです。
 例えば、10年前に収入の確かな、元気な48歳の入居希望者がいたとき、あなたは断ってはいないはずです。さて、その方は既に58歳です。10年後は68歳。15年後は73歳です。仕事も変わっているかもしれません。ご夫婦で入居されていても、今はひとり暮らしかもしれません。
 そう、既存の入居者の高齢化問題がある限り、私たちは、高齢問題を避けていく事は困難なのです。高齢を理由に立ち退きや退去を要求する事は出来ないのですから。

孤独死を防ぐために
孤独にしない施策

 今後人口が減る中、確実に増える高齢者。であれば、むしろ対策を考えるほうが良いでしょう。
 例えば、ヤクルトなどを配って安否確認をする事を前提としている不動産会社もあります。給食サービスなども有効でしょう。
 あるいは、人感センサーなどのIoTで動かなくなったらメールが送られるサービスもあります。事故物件となる事を避けるためにも、こうしたサービスを活用する収益物件もいらっしゃいます。
 なによりも良いのは、高齢者を孤独にしない事です。積極的に町内会などの活動に誘い、日頃から近隣で接点を持ち、「あれ、あの人どうしたのかな」「最近見ないね」と声を掛け合う世界が理想です。
 待ったなしの高齢社会。収益物件の入居率の維持のためにも、これまでとは考え方を変えて、ポジティブに「どう対応するか」を考えるべきタイミングに来ているのではないでしょうか。