関西の大家業をもっと楽しくする
ヒント集
vol.112
2019.06.24
免許返納と
2000万円年金足りない問題。
収益物件オーナーとしてどう考えるか、ヒントにしましょう。
写真はイメージです
年金だけでは、老い先の
生活費が足りない?
「なにを今さら」と思った収益物件オーナーもいらっしゃるのではないでしょうか? 「そう、これからの先の人生に備えて、収益物件を建てて不労所得を得ていく道を選んだよ」という方もいらっしゃるはずです。
高齢者が増え、若い人が減るという人口構造の中で、若い人から搾り取って、高齢者に年金を回すといっても、足りなくなる可能性はあるものです。だからこそ、高齢になっても毎月の家賃収入が入る未来を選択し、借金をし、空室リスクを抱えて勝負をしてきた方がいらっしゃるはずです。
有識者が2000万というなら、2000万以上の不労所得が確保できるか計算してみても良いでしょう。
■一方で「高齢者ドライバー」の悲劇
「働かなくも、物件が家賃収入を運んできてくれる」。これが不動産収入です。一方で、高齢者ドライバーによる痛ましい事故のニュースが続きます。いつ自分が加害者になってしまうか。そう考えると、交通利便性や機能性を犠牲にして免許を返納される方もいらっしゃいます。
しかし、運転しないと買い物もままならないという事は、地域によってはかなりあります。自動運転技術や危険回避機能などの充実が、この悩みを解決してくれるのかもしれません。
ところで「大家業はいつまで出来るの?」
運転免許は返納する事ができますが、大家業はどうでしょう? 実は、収益物件オーナーはなんの免許もいりません。運営を管理会社に任せてしまえば、なにもしなくてもいいかもしれません。
事実、サブリースで、一棟丸ごと管理を任せているので、なにもしていないという大家さんもいます。すなわち、老化し、反射神経や運転技術が衰えても、大家業は続けられる。いつまでも、任せておいて、年金のように収入を得続けることが出来るビジネスともいえます。
しかし、決断や判断には限界が
たしかに、高齢でも出来るのが大家業。とはいえ、では、「この物件はアクセントクロスをいれよう」「まだまだリフォームすれば人気が出るはずだ」「ネット無料は高速がいいか安いものが良いのか」「修繕すべきか、建て替えるか、はたまた売るか」といった賃貸経営の判断はいつまで出来るのでしょうか。
こうした投資判断や決断力、あるいは流行や未来を見据えた戦略は、高齢になると難しくなります。運転の判断を誤るように、賃貸経営の判断を間違えてしまうかもしれません。
相続を考えた、投資
人はだれしも、老い、だれしも、いつかは亡くなります。そのことを考えて、将来の相続に備えている収益物件オーナーは多いと思います。
相続を考えると、実は「建て替えをして借金をする」ほうが相続税が安くなることがあります。売って現金にしたら、相続税は割高です。借金を完済して「やれやれ終わった」と思った物件は、相続される側からすると築古で修繕コストがかかり、入居が決まりにくく、沢山の相続税を取られる案件かもしれません。
税理士さんに相談するだけでなく、管理会社に、自分の相続はどうなのか、相談すべきですし、そうしたスキルをもつ不動産会社も出てきました。
もし、認知症になったら?
人はだれしも、老い、だれしも、いつかは亡くなります、と書きました。ところが、だれしも「自分だけはボケない」と思っています。残念ながら一定確率で認知症になる可能性があります。
仮に認知症になれば、修繕計画も管理委託契約も、売買契約も出来ません。そう経営判断が出来ない=大家免許返納となってしまうのです。
こうしたケースに備えて「家族信託」という方法も出来るようになりました。まだ財産は相続しないけれども、その経営判断は委託するという方法です。
高齢社会の到来が、日々のニュースに影響を与えていますが、それは私たち収益物件オーナーにとっても実は同義です。どう相続するか。どう認知症に備えるのか。ゆっくりと未来を考えて検討し続けましょう。