関西の大家業をもっと楽しくする

ヒント集

vol.101

2019.01.09

分業化しても「同業」。
コンプライアンスを

札幌でスプレー缶の噴射に伴う、大規模なガス爆発が発生しました。
「これだから、仲介会社は・・・」と事件を揶揄する大家さんもフェイスブックなどに何人かいらっしゃいました。
この事件を「よその世界の失敗」と考えるのではなく、「我が業界の襟を正すべき事件」として考えたいと思います。

写真はイメージです

札幌の雑居ビルで爆発事故。
42人が重軽傷に

 12/16(日曜日)深夜・札幌の雑居ビルで爆発事故が起こりました。ビルが吹っ飛び、42人が重軽傷となるという痛ましい事件が起こりました。
翌日、被害者でもある店長にヒアリングが入り、当人がスプレー缶を噴射した後、給湯器を着けた瞬間爆発したとの事。アパマンショップホールディングスのHPにお詫びが載りました。
 12/18(火)夕方、「アパマンショップ北海道」佐藤社長が会見しました。同社はアパマンショップホールディングスの100%子会社です。
 会見した社長によると、
・ガス爆発の原因は120本のスプレー缶噴射後の給湯器による着火
・火器取り扱いの認識なし
・実行は店長
・「まだ使えるスプレー」であった
・お金を受け取っていたのに「施工」していない事例がある
・それを隠蔽するために処分した可能性がある
・「ノルマはなかった」と説明
・報道では、過激なノルマや売上至上主義が招いた人災ではないかという論調
でした。

「これだから仲介会社は・・・」
という論調の違和感

 報道を受けて、「これだから仲介会社はとんでもない」「業界の闇の部分だ」「困ったもんだ」といったつぶやきが、収益物件オーナー・不動産会社・業界関係の評論家やシステム会社などの声が寄せられています。沢山の方々とつながっている私のフェイスブックには、「そうだそうだ」と、仲介会社批判が沸き起こっていました。
さて、どうなんでしょう? これは被害者や一般の人から見ると違和感がないでしょうか?
 「え?大家さんと関係ない話なの?」「あれ?管理会社は、無関係?」「おや?でもこのIT企業の社長は、でもそんな不動産業界から収益上げているんだよね」「たしかにこの評論家の言っている事は正論だけど、この評論家って業界団体にも入っていて、対岸の火事と距離を置いてるんだね」と感じないでしょうか?
 例えば、レストランで食中毒が起こって、「それは材料メーカーの海外の工場のせい」「まったく困ったもんだ、海外の工場は」と言われたら「え?そのレストランはそこに発注していたんじゃないの?」と感じないでしょうか。

自主管理はあるが
自主仲介はない

 たしかに「私はそんなことやっていない」という前提は間違っていません。そんな会社や従業員と同じにみられたくない、という方も多いはずです。
 しかし、「そんな業界」にみな、属しています。自主管理だから関係ない?いえいえ、仲介は仲介会社に頼っているのが現実。自ら、仲介業を行っている大家さんは、ほぼ稀な存在です。
 仲介会社を弁護するわけではなく、一方的に批評・批判する前に、同じ業界の一員として、よりコンプライアンスの高い風土を育む必要があります。

賃料低下で付帯商品を増やす仲介。
コンプライアンス順守は業界全体で。

 賃料が下がれば、顧客あたりの仲介手数料収入は下がります。自明の理です。家賃の維持やアップを行うためには、設備投資など近隣物件との差別化も必要となり、収益物件を経営するオーナーの投資も必要となります。
 物件力強化を怠れば、賃料は下がり、仲介会社は、AD料や付帯収入で収益を守ろうとします。そのこと自体は、ハンバーガーショップが、100円でハンバーガーを売りながら、ジュースやポテトでセット販売して収益を確保する行為と同じです。格安スーツの裾上げ代なども同様でしょう。
 そう考えれば、付帯営業そのものを揶揄するのは、「ナゲットで異物混入があったが、ハンバーガー以外も売ろうとするからだ」というような論調ともいえます。まずパートナーである仲介会社のビジネススキームを理解しつつ、火器取り扱い義務違反や、実施していないスプレー缶の噴射という業務不履行を防止すべきでしょう。

実際に消臭抗菌を行っている
清掃会社のダメージ

 とある会社では、実際に専門作業員がマスクをして薬品を塗布し、丁寧に消臭抗菌を行っています。新生活をきれいな空間で過ごしてほしいという想いから、社員が長年行っています。そうした会社も提案がしにくくなり、業績ダメージを受けるかもしれません。
 今回の事件で消臭抗菌スプレーが売れなくなる可能性もあります。格安で消臭抗菌が出来るのであれば、入居者にとって有益なサービスであったと思われます。
 また、収益物件オーナー側でも、オーバーローンや、耐震診断、インスペクション、住宅性能評価、エネルギー対策など様々なコンプライアンスリスクはないでしょうか? 鍵の管理はいかがでしょう。社会の目は厳しく、守るべきフェアウエイはどんどん厳しくなっているのが事実です。
 私たちの業界は、もともと、大家さんが、仲介も管理もしていました。それをアウトソーシングしてきた歴史を考えれば、「同業」です。不動産業界全体で、こうした事故を二度と起こさない為の対策を行っていくべきだと思います。