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ヒント集

vol.8

2015.09.10

先生!新築マンションを計画中なのですが、設計も、仕様も確定していないのに、とりあえず契約…と言われ、不安です。

それは一大事!その契約、ちょっと待ってください。
思い通りの仕上がりにならなかったり、
予算を大幅にオーバーする原因になりかねませんよ。


土地から仕入れて収益マンションを建築したり、居住用の建物を建てる場合、精神的な安心のため、建築を請け負う会社に一括して依頼する方も多いと思います。
その理由として、
・大手だから安心
・考えなくてもいい
・プロが思ったように仕上げてくれる
などが挙げられるのではないでしょうか。
でも、大手だから安心とは限りませんし、一括丸投げは相手の好きなようにされてしまうことになります。これから新築マンションや自宅の建設をお考えの方に、注文建築の紛争に巻き込まれないための注意点と対策をお話ししたいと思います。

「とりあえず契約」の、どこが危険ですか?

 一般論として契約に至るまでに仕様の詳細が確定しないまま、建設に関わる費用一式の代金だけを決め、契約をしている場合が多いと思います。建築は部材にしても設備にしても、ピンからキリまであり、その金額も大きく違います。それなのに曖昧な部分が多い契約をしてしまうと工事を進めていく中で、部材や設備を請け負った会社の好きなようにされてしまい、発注者が希望を述べても「それは別契約になります」とか、「それを設置するなら増額になります」などと、根拠もなく言われてしまう危険性が高いです。最初の金額から最終的な金額が大幅に増加してしまうトラブルは、このようなことが原因になっていることが多いように思います。

丸投げは、見えない危険が潜んでいるのですね

 その通りです。さらに、こんな危険もあります。打ち合わせを行う建築士は、利害が対立する相手方=建築を請け負う会社が雇用もしくは依頼している建築士です。つまり、何かがあったとき、最終的に発注者=あなたのためには動いてくれません。下手をすれば、裁判で争う相手方の弁護士に、依頼者が相談しているのと等しい状況が生まれかねないのです。これは構造的な問題ですので、契約・着工してしまったら解消される可能性はありません。

どうしたら、危険を回避できますか?

 かなりの金額をかけてマンションを建設する予定なら、まずは信頼のできる1級建築士の先生を自ら探すなり、知り合いに紹介してもらいましょう。そして、その方と直接契約。浴室やトイレなどの設備の品番、細かい部分に使用する壁紙に至るまでよく打ち合わせし、詳細の仕様を決めた上で、3・4社の施工会社に同一条件で見積もりを依頼します。思いついたから…と違う条件でいろんな施工会社から見積もりを取っても、比較検討できないので無意味です。気を付けてください。そして、提出された見積もりを元に、発注者側が主体的に施工会社まで選定すれば、リーズナブルな価格できっちりとした建物を建てられるはずです。
 ある1級建築士の先生によると、図面や仕様に従って適切な見積もりができるかどうかで、その施工会社の実力が大体わかるとのことです。ダメなところは図面の細かい部分を読み取れず、資材の数量も正確に把握できないので、金額がおかしいそうですよ。

お任せでなく、 自分も主体的に動かないダメなのですね

 ご理解されたようですね。このように詳細な図面・仕様、それに基づく見積の内容が一体となった計画書を作成すれば、契約に曖昧な部分はなくなります。つまり、仕様を落とす場合には減額、逆に仕様を良くすれば増額になるという根拠となるのです。このことは契約書にも明記しておくべきしょう。コツとしては、見積段階では仕様を高めに設定し、実際に工事が始まる前の見直しで必要ならば仕様を落として代金を下げる…というのがオススメです。また、建築士の先生には発注者側の立場から、図面や仕様の通りの建物かつ適切な施工がなされているか…といった監理まで行ってもらいましょう。
 上記したように曖昧な部分を一つひとつ排除すれば、建築士の先生にお支払いする報酬を遙かに上回るコストダウンとクオリティの高い建物が完成する可能性が高いでしょう。建築を請け負う会社に丸投げするより、ずっと安心だと思います。

自分のために動いてくれるチームを、 自分自身でつくることが大切なのですね

裁判になる前に

そうなのです。このような過程を踏めば、欠陥住宅、曖昧な内容から生じる追加発注や増額の紛争が避けられます。万が一、不幸にも紛争が生じた場合でも、自らが依頼した1級建築士の先生なら味方として助力が得られますので、紛争を有利に終了できる可能性が高くなります。仮に施工会社が完成したと主張しても、実際には図面や仕様通りではなかったり、瑕疵があることが多いので、その際も自らが依頼した1級建築士の先生に厳しく指摘してもらい、先生を通じて手直しを十全に行わせることができます。このような体制がないと素人だからとなめられ、施工会社に根拠もなく手直しを拒否されることも…。それを防ぐには、自分の足で味方を見つけ、身銭を切って自分の身を守ることだと思います。
 なお、建築を請け負う会社が紹介する1級建築士のコストは当然ながら建設費に含まれており、決して無料ではありません。それなのに利害が対立した場合、発注者のために動いてくれないとなれば、依頼してもいいことは何もないと思われます。