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ヒント集

vol.10

2015.11.11

先生!前の道路は狭いのですが、
利回りはすごくいい物件なんです。
買っちゃおうかなあ。

それは一大事!建て替え可能か、スグに確認してください。
接道要件などを充たしていなくて、
建物が建て替え不可能だったら大損害ですよ!


私が弁護士になりたての駆け出し時代、依頼者である不動産業者の方から業者さんにとって「道路は鬼門」「道路の説明を間違えたら致命傷」ということを教えてもらいました。売り主や仲介業者が故意または過失で「建て替えできないこと」を説明しなかったため、「建て替えられる」と考えて買い主が取引をした場合には紛争必至です。
今回は、建て替え不能物件についてお話しします。

建て替え不可能なんて、あるんですか?

 はい。あります。
建築基準法第43条本文 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第44条第1項を除き、以下同じ。)に2メートル以上接しなければならない。
と定められています。
 収益物件を検討した経験のある方なら、近隣の物件より利回りが相当よいので問い合わせてみると、接道要件などを充たしておらず、建物の建て替えができません…という返答をされたことがある方もおられるでしょう。

絶対に買っちゃダメなんですか?

 売主や仲介業者から「建て替えできないこと」の説明がきちんとあり、買主がその意味を理解したうえで、建て替えできないリスクと現在の収益性などのメリットを天秤に掛け、メリットがあると判断し、自己責任で購入する分には買主にも売主にも仲介業者にも何にも問題はないと思います。
 ただし、融資する銀行の土地の評価は建前としては無価値としているようです。

もし買ってしまったら、どうなりますか?

 そうですね。私が体験した例では、ある分譲地における道路調査を仲介業者の一社が調査。その結果を鵜呑みにし、他の仲介会社はどこも確認をしなかったのです。ですが、その道路の調査が間違っており、その分譲地に関与した仲介業者の説明が全て間違えていたということがありました。つまり、建て替え不能なのに建て替えできるとの説明で取引をしてしまったのです。
 私だけでも3回、このようなケースを裁判で経験したことがあります。買主側で被害を受けた場合も悲惨ですが、売主や仲介業者も契約の解除や多額の損害賠償請求をされるので、その影響は計り知れません。
 売主側で建て替え不能の物件の取引を行う場合には、建て替えられない旨を丁寧に、かつしつこいぐらい強調して、ちょうどいいと思います。売主としてこの説明を誤り、そのまま取引をしてしまうと、文字通り致命的な結果になります。

ほかにどんなケースがありますか?

裁判例

条例によっても接道要件が厳しくなっていることもあります。

 例えば、千葉地裁平成23年2月17日判決(判例タイムズ1347号220頁)において、「宅地の売買においては,建築基準法上の接道関係は,建替えの可否並びに転売の可否及び転売条件等に大きく影響する」「本件売買契約上の付随義務として,本件土地の接道状況について原告に対し説明する義務があった」として、売り主と仲介業者の責任が認められています。