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ヒント集

vol.51

2017.07.07

IT総合戦略本部で安倍首相の発言。
これ、革命です。

あまり業界で話題になっていないようなのですが、安倍首相が不動産業界を根本から変革すると発言されました。
これ、革命だと思います。

写真はイメージです

不動産取引の慣行や仕組みが
根本的に変わる可能性が

 5月30日に首相官邸で行われたIT総合戦略本部での安倍首相の発言。
「不動産市場の透明性を高めるため、取引価格や建物の利用現況、地域の安全・インフラ等の情報をオープン化します。戸籍や住民基本台帳などと相互に連携するデータベースを整備し、最新の所有者情報を把握・共有することで空き家対策や開発事業等を円滑化します。こうした取組により不動産の取引を活性化させ、不動産投資市場を約30兆円に拡大します。
こうした施策の確実な実施に向け、IT本部・官民データ戦略会議の下、各大臣は一丸となって取り組んでください。」
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201705/30it_kanmin.html
(首相官邸のウェブサイトより引用)
解説するとこういう事です。
「今まで、取引価格は当事者間しかわかりませんでしたが、それを政府がデータを集めて価格を公開しますよ」
「登記上の所有者や物件情報と、市役所の固定資産税の納付通知書に記載されている内容が相違していることがありましたが、データベースを統一しますよ。そしてレインズと連動させますよ」などなど。
 つまり、今までの不動産取引の慣行や仕組みが根本的に変わる可能性があるということ。
ちなみに、今回の安倍首相発言の元ネタになったのが、以前に紹介した新経済連盟より今年2月に発表された「不動産・新産業革命 ~名目GDP600兆円に向けた成長戦略」という提言書。
(新経済連盟のウェブサイトに公開されているので是非ご一読を)
 新経済連盟は元々はIT企業の経営者らで設立された経済団体で、会長は楽天の三木谷社長。当社も会員になっており「不動産市場拡大推進PT」に所属しています。
 この提言書の内容と安倍首相を発現を元に推測すると、今後の不動産業界は次のように変化します。

1.「不動産総合データベース」の運用開始
 レインズと登記データ、自治体所有データなどが連動します。今年3月まで大阪などでは試験運用が行われており、取引データなどが一部参照することが可能でした。それをさらにバージョンアップしたものが近日中に公開されると思います。
 おそらく、近い将来に取引価格の届け出や、売り物件のレインズ登録が義務化され、そのデータを自由に加工・活用できるようになるのではないでしょうか?

2.価格評価手法の見直し
 「この不動産の価値はいくらか?」これはなかなか難しい問題で、不動産鑑定士に聞いても人によって評価額は違いますし、評価を依頼すると逆に「いくらの評価にしてほしい?」と逆に聞かれます。銀行に融資を依頼すると銀行ごと、あるいは同じ銀行でも支店や担当者ごとに評価が違います。
 また、評価を伸ばすために資料を改ざんするなどの行為も横行しており、評価手法が確立・公開されたり、あるいはデータベースの活用やブロックチェーン技術などで改ざんを出来ないようになる事で透明性が高まります。

3.空き家問題の解決
 所有者情報や物件の状況を容易に共有化されることで、放置される空き家が減少し、取引が活性化されます。これらから派生されることも多く、今後の数年間で不動産取引の現場は劇的に変化するのではないでしょうか?

 あと、もう一つ不動産業界の人が注目しなければならない事が、新経済連盟と言う不動産業者が決して主流とは言えない経済団体から出させれた提言書が、数か月後にそのまま政府の政策になったという事です。宅建協会、全日、FRKといった不動産業界の団体から出された提言が、数か月後に政府方針になったという話は聞いたことがありません。
 IT重説も業界団体は基本的に反対か、反対しなくても非常に消極的でした。そのため、国交省も政府も組む相手を変えたのではないかと推測しています。既存業界団体ではイノベーションを起こせないので、他からの意見を採用するという動きは、個人的には決して間違ってはいないと思います。
 2040年には地価や住宅価格が、現在の半分から1/3くらいに下落すると予想されています。2033年には、空き家率が30%を超えます。今の延長で、我々のビジネスは生きていけないのは間違いありません。根本からルールや秩序を変えないと、未来はないと思います。むしろ、これから起こるであろう大変革の波に乗って会社を伸ばしていこうという姿勢が、宅建協者には必要なのではないでしょうか?